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政府活動報告

date:2023-04-26 16:41:57 source:新华社
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  2023年3月5日

  第14期全国人民代表大会第1回会議にて

  国務院総理李克強

 代表のみなさん

  今期政府の任期がまもなく終わる。ここにわたくしは国務院を代表して、大会に活動報告を行い、審議を求めるとともに、全国政治協商会議委員からも意見を求めたいと思う。

  一、昨年および過去5年間の活動の回顧

  2022年は党と国家の歴史においてきわめて重要な1年であった。中国共産党第20回全国代表大会(第20回党大会)は成功裏に開催され、社会主義現代化国家を全面的に建設する壮大な青写真を描いた。波乱に満ちた国際環境と国内の改革・発展・安定の困難で重い任務を前にして、習近平同志を核心とする党中央は全国各民族人民を団結させ率いて困難に立ち向かい、新型コロナウイルスの感染被害の抑制、経済成長の維持、安全保障の確保という要請を全面的に実行し、マクロコントロールを強化したことで、経済の安定した推移、発展の質の着実な向上、社会の大局の安定を実現し、わが国の発展は容易には得られない新たな成果を収めた。

  昨年、わが国の経済発展は感染拡大など国内外の度重なる予期せぬ事態に見舞われた。党中央の力強い指導の下、われわれは感染症対策と経済・社会の発展を効率的に両立させ、ウイルスの変異と防疫状況に応じて感染症対策を適時に調整した。経済の新たな下押し圧力を前に、即座に対応して速やかに調節し、近年取り置いた政策ツールを十分に活用し、既定の政策措置を繰り上げて実施し、揺るぐことなく供給側構造改革を推進し、経済安定化につながる政策パッケージおよび後続措置をうち出して実施し、経済を安定させる取組を配置し、地方の政策実施に対する監督指導と支援を強化し、各地区が独自の景気対策をうち出すこと、経済大省が大黒柱の気概をもってしっかりと経済成長を支えることを支持し、経済・雇用・物価の安定を優先させ、景気の持ち直しを後押しした。昨年の国内総生産(GDP)が3%伸び、都市部新規就業者数が1206万人となり、年末時点での都市部調査失業率が5.5%に下がり、消費者物価が2%上昇した。財貿易額が7.7%増えた。財政赤字の対GDP比が2.8%に抑えられ、中央の予算が計画どおりに執行され、やや黒字となった。国際収支が均衡を保ち、人民元相場は世界主要通貨の中で相対的に堅調に推移した。食糧生産量が前年比370万トン増の6億8500万トンとなった。生態環境が持続的に改善された。困難に立ち向かう中で経済を安定させ、複雑で変化の多い環境において発展の年間主要目標・任務を基本的に達成し、わが国の経済は高い強靭性を見せた。

  企業の経営難の深刻化を受け、苦境脱却支援を強化した。感染症などの影響を受け、多くの企業と自営業者が深刻な経営難に陥った。昨年は、未控除仕入増値税還付額が2兆4000億元、租税公課の新規減免額が1兆元、納付猶予額が7500億元を超えた。地方の減税・料金引き下げ政策の実施を強力に支援するために、中央から地方への財政移転を大幅に増やした。金融機関に貸出を増やすよう指導し、資金調達コストを引き下げたことで、昨年の企業向け新規貸出平均金利がこれまでで最も低くなり、また新型コロナウイルスの影響を大きく受けた中小・零細企業、自営業者や飲食業、観光業、貨物運送業などの元利返済を一時的に猶予し、小企業・零細企業向け包摂融資の金利について一時的に引き下げた。改革の方法で市場の活力を引き出した。数多くの中小・零細企業と自営業者があまねく利益を受けた。

  有効需要の不足という際立った問題を受け、さまざまな措置を講じて投資の拡大、消費の促進、貿易の安定をはかった。昨年の最終消費支出が大打撃を受け、投資にも影響が及んだ。第14次5ヵ年計画の一部重要プロジェクトを繰り上げて実施し、地方政府特別債の発行・運用を加速し、法に基づいて地方政府特別債を限度額まで最大限に活用し、また重点プロジェクトの増資のために、2回に分けて政策性・開発性金融ツール7400億元を投入した。特別再貸出や利子補給などの政策を運用して重点分野の設備更新・改造を支援した。窓口一本化や地方誓約などの方法をとり、行政審査の効率を高めた。通年でのインフラ・製造業への投資がそれぞれ9.4%、9.1%伸びたことは、固定資産投資の5.1%増につながり、消費の縮小をある程度補った。消費の新業態・新モデルを発展させ、自動車取得税減免などの措置を設け自動車購入を促進し、新エネルギー車の販売台数は93.4%伸び、エコ・スマート家電とエコ建材を農村へ普及させ、社会消費財小売総額は基本的安定を保った。金融支援策をうち出し、マイホームの購入または買い替えを支援し、物件の確実な引き渡しによる民生の安定化を着実に推し進めた。輸出企業の原材料ひっ迫や人手不足、物流の目詰まりなどの解決をサポートし、港湾の集配効率を高め、外資企業の抱える問題に適切に対処したことで、財貿易は予想を上回り、外資実質利用額は堅調な伸びを見せた。

  雇用状況の悪化を受け、雇用維持・創出政策に力を入れた。昨年は都市部調査失業率が急激に高まった。財政、金融、投資などの政策でいっそう雇用維持を重視した。経営難の業種・企業の社会保険料納付を猶予し、雇用安定化のための雇用保険料還付率を大幅に引き上げ、雇用維持・創出補助金を増やした。有担保ローンや家賃減免などの起業支援策を徹底した。大学新卒者の就職支援に大いに取り組み、就業困難層向けの特別支援を行った。重点プロジェクトにおいて脱貧困層の雇用対策を講じた。脱貧困層の就労規模は3200万人を超え、安定した伸びを実現した。雇用状況の全般的安定を保った。

  世界的な高インフレーションの影響を受け、食糧とエネルギーを重点に安定供給・物価安定をはかった。昨年、世界のインフレ率が40余年ぶりの高水準に達したことは、国内のインフレ圧力を強めた。洪水や干ばつなど深刻な気象災害に効果的に対応し、農期を逸することなく食糧作物の作付けと収穫を行い、地方政府と早急に連携をとって農機を広域通行させて、農作業が滞ることのないようにし、食糧農家を対象に農業資材補助金を3回にわたって給付し、食糧の豊作と重要農産物の安定供給を保障した。石炭の主力エネルギー源としての役割を発揮させ、生産性の高い採炭設備を増やし、熱電併給企業への支援を強化し、エネルギーの安定供給を保障した。世界的な高インフレーションの中、わが国の物価が低い水準に保たれたことは容易なことではなかった。

  一部の人々の生活困窮の深刻化を受け、基本的民生への保障を強化した。生活保護など社会保障制度の受給要件を一時的に緩和し、より多くの生活困窮者を保障対象にした。雇用保険適用拡大策を延長し、計1000万を超える失業者に給付した。より多くの低所得層を対象に物価上昇支援給付金を給付し、約6700万人が利益を受けた。経済的困難を抱える大学卒業生に対し、貸与型政府奨学金の2022年度分の利子を免除し、元金の返済を猶予した。感染症や災害で生活苦に陥った人々への緊急救済を行い、社会的セーフティネットでしっかりと受け止めた。

  これと同時に、われわれは中央経済工作会議の配置を徹底し、第13期全国人民代表大会第5回会議で承認された「政府活動報告」の内容に基づき、経済・社会の諸般の取組を統一的に推進した。多大な努力の末、足下の消費需要、市場の流通、工業生産、企業の景況感などが明らかに改善し、景気が持ち直した。わが国の経済は、巨大な潜在力と発展の原動力を持っている。

  代表のみなさん

  この5年は、きわめて特殊で、きわめて特異なものであった。習近平同志を核心とする党中央の力強い指導の下、われわれは激動する世界情勢、新型コロナウイルスの感染拡大、中国経済の成長鈍化など幾多の試練に耐え抜き、計画どおりに貧困脱却堅塁攻略戦に勝利し、計画どおりに小康社会を全面的に完成させて一つ目の百周年の奮闘目標を達成し、二つ目の百周年の奮闘目標に向かって新たな征途を進みはじめた。各地区、各部門は習近平「新時代の中国の特色ある社会主義」思想を導きとして、「二つの確立」の決定的な意義をしっかりと把握し、「四つの意識」を強め、「四つの自信」を固め、「二つの擁護」を徹底し、第19回党大会と第19期中央委員会各回全体会議の精神を全面的に貫徹し、第20回党大会の精神を深く貫徹し、「安定を保ちつつ前進を求める」という活動全体の基調を堅持し、新たな発展理念を完全に、正確に、全面的に貫徹し、新たな発展の形を構築し、質の高い発展を促進し、発展と安全を統一的に考慮し、わが国の経済・社会発展は世界の注目を集める大きな成果を収めた。

  ――経済力が再び新たな大台に乗った。GDPが121兆元に増え、この5年間の年平均伸び率が5.2%で、この10年で年平均6.2%の伸び率で70兆元近く増加し、高い基準値での中高速成長を実現し、質の高い発展へ邁進した。歳入が20兆4000億元に増えた。食糧生産量が数年連続で6億5000万トン以上をキープした。工業付加価値額が40兆元を突破した。都市部新規就業者数が年平均で1270万人を超えた。外貨準備高が3兆ドル台を維持した。わが国の経済力は著しく強まった。

  ――貧困脱却堅塁攻略の任務が成功裏に達成された。8年間のたゆまぬ努力を経て、1億近くの農村貧困人口が貧困から抜け出し、全国832の貧困県が脱貧困基準を満たし、960万余りの貧困人口が移住・転居し、絶対的貧困の問題は歴史的解決に至った。

  ――科学技術イノベーションにおいて多大な成果を上げた。新型挙国体制をうち立て、国家実験室を設置し、全国の重点実験室の再編を段階的に推し進めた。一部の基幹核心技術の開発が新たな進展を見せ、有人宇宙飛行、月・火星探査、深海・地球深部探査、スーパーコンピューター、衛星測位、量子情報、原子力発電、大型旅客機製造、人工知能、バイオ医薬などの分野においてイノベーションの成果が次々と生み出された。社会全体の研究開発費の対GDP比が2.1%から2.5%強に上昇し、経済成長に対する科学技術進歩の寄与率が60%以上に達し、イノベーションが発展を支える力はますます強まった。

  ――経済構造がいっそう最適化した。ハイテク製造業、設備製造業の付加価値額がそれぞれ年平均で10.6%、7.9%伸び、デジタル経済が絶えず成長し、新産業・新業態・新モデルの付加価値額がGDPの17%以上を占めるまでになった。地域間調和発展戦略と地域重要戦略を踏み込んで実施した。常住人口ベースの都市化率が60.2%から65.2%に上昇し、農村振興戦略を全面的に実施した。新たな成長分野が急速に拡大した。

  ――インフラがさらに整備された。水害・旱害対策や導送水にかかわる多くの重要水利プロジェクトが着工した。高速鉄道の営業距離が2万5000キロから4万2000キロまで、高速道路の営業距離が13万6000キロから17万7000キロまで伸びた。125万キロの農村道路が新設・改良された。空港の受入能力を新たに4億人分増加させた。発電設備容量が40%以上伸びた。すべての地区級都市でギガビット級光ファイバーが整備され、すべての行政村でブロードバンドが普及した。

  ――改革開放が持続的に推進された。改革開放の全面的深化により新たな発展の形の構築を推し進めた。供給側構造改革を踏み込んで実施し、「行政簡素化と権限委譲、緩和と管理の結合、サービスの最適化」の改革が不断に深化し、ビジネス環境は明らかに改善された。「一帯一路」共同建設が着実に進んだ。地域的な包括的経済連携(RCEP)協定の発効・実施を推し進め、世界最大の自由貿易地域が形成された。財貿易額が年平均で8.6%伸びて数年連続で世界第1位をキープし、総額は40兆元を超え、対内投資額と対外投資額は世界上位を維持した。

  ――生態環境が明らかに改善された。GDP1卖位当たりのエネルギー消費量と二酸化炭素排出量がそれぞれ8.1%、14.1%低下した。地区級都市および地区級以上の都市の微小粒子状物質(PM)平均濃度が27.5%低下し、重度大2.5気汚染の日数が50%以上減尐し、優良な地表水の割合が67.9%から87.9%に上がった。第1期国立公園として5ヵ所を設立し、各級政府が指定したさまざまな自然保護区は9000ヵ所以上となった。「美しい中国」の建設において重要な一歩を踏み出した。

  ――人民の生活水準が不断に高まった。住民所得の伸びが経済成長率とほぼ一致し、全国住民1人当たり可処分所得は年平均で5.1%伸びた。消費者物価の年平均上昇率は2.1%であった。新規就労者の平均就学年数が13.5年から14年に上がった。基本年金の加入者数が1億4000万人増加し、10億5000万人に行き渡り、基本医療保険が着々と整備された。この数年間で4200余万戸規模のバラック地区の再開発が進み、1億人以上の元バラック住民がマンションに入居し、安全で安心な暮らしを送れるようになった。

  数年間にわたる入念な準備を行い、「シンプル・安全・素晴らしい」北京冬季オリンピック・パラリンピックを成功させて、ウインタースポーツの普及、オリンピック競技の発展、世界各国の人々との連帯を強め友情を深めるために、大きく貢献した。

  新型コロナウイルス感染症発生から3年余り、習近平同志を核心とする党中央は終始人民至上・生命至上を堅持し、医療資源と物資の保障を強化し、感染者の治療に全力を尽くし、人民の命と健康を効果的に守り、状況に応じて対策を適時に調整し、全国人民が粘り強く戦い、感染症対策の決定的な大勝利を収めた。困難を極めた感染症対策の取組の中で、各地区・各部門・各機関は大量の業務を行い、各界は難局をともに乗り越え、広範の医療従事者は困難をいとわず、とりわけ億万の人民は幾多の困難を乗り越え、犠牲と奉仕を貫き、大変な苦労をし、皆で新型コロナウイルス感染症という大きな試練に立ち向かった。

  いまだ終息の見えない感染症を前に、感染症対策と経済・社会発展の統一的推進において成果を上げ続けている。

  代表のみなさん

  この5年、われわれは、習近平同志を核心とする党中央の政策決定と活動計画を深く貫徹し、主に以下のことに取り組んだ。

  (一)マクロコントロールを刷新し、経済の動きを合理的な範囲内に保った。保護貿易主義の台頭や感染拡大など立て続けに襲いかかる厳しい試練を前に、マクロコントロールを刷新し、過度な投資依存をせず、財政や金融などの政策を一体的に実施し、的確性と有効性を高め、市場の変化に向き合い、市場主体の苦境脱却を重点的に支援し、雇用維持をはかり民生を保障した。年間主要所期目標を一つの有機体としてとらえ、区間コントロール、ターゲット・コントロール、臨機応変なコントロール、的確なコントロールを強化し、早急に景気対策を強化しながらも、財政健全性を損なう「ばらまき」は行わず、持続的に「六つの安定」と「六つの保障」にしっかりと取り組み、雇用、基本的民生、市場主体、食糧・エネルギー安全保障、産業チェーン・サプライチェーンの安定、末端の行政運営への保障を強化し、改革開放の方法で経済が困難の中でも安定的に成長するよう促した。

  積極的な財政政策を堅持した。財政赤字を合理的に設定し、過去5年間の財政赤字の対GDP比を3%以内に抑え、政府債務残高の対GDP比を50%前後に抑えた。支出構造を不断に改善し、教育・科学技術、生態環境保護、基本的民生などの重点分野をしっかりと保障した。制度的取り決めと一時的措置を組み合わせて大規模な減税・料金引き下げを実施し、パンデミック発生後はさらにその実施規模を拡大し、景気対策の肝心な一手となった。営業税から増値税への切り替えを完了し、増値税率のうち、税収が最も多く適用業種の多い17%税率を13%に引き下げ、一時的に小規模納税人の増値税基礎控除額を月間売上高3万元から15万元に引き上げると同時に、小規模薄利企業の所得税実効税率を10%から2.5%に引き下げた。減税・料金引き下げ政策がすべての市場主体に公正かつ効率的に行き渡り、この5年で累計減税額が5兆4000億元、料金引き下げ額が2兆8000億元に達し、企業の苦境脱却と事業存続を支援し、同時に「放水養魚(税源の涵養)」を行い、新設の徴税対象となる企業および自営業者数などが年平均で1100万を超え、各年度の中央歳入予算が計画どおりに執行された。未控除仕入増値税還付分も含めると、昨年の歳入は10年前の約2倍となった。地方への財政移転を拡大し、中央一般公共予算支出に占める地方への移転支出の割合を70%前後に引き上げ、中央財政資金の市・県への直接交付の仕組みを確立して継続的に実施した。各級政府は支出切り詰めを堅持し、消費的支出を厳しく抑え、中央部門は率先して消費的経費を削減し、遊休資金・資産を活性化し、調達した資金をさまざまな方法で企業と人々の暮らしを潤すことに充て、歳出の7割以上が民生分野であった。

  穏健な金融政策を堅持した。情勢の変化に応じて政策内容を柔軟に調整し、流動性の合理的なゆとりを保ち、預金準備率引き下げや再貸出などの政策ツールを活用し、実体経済への支援効果を高め、中小・零細企業の抱える「資金繰り難、資金調達コスト高」などの問題を緩和した。製造業向け貸出残高が16兆3000億元から27兆4000億元に増えた。小企業・零細企業向け包摂融資残高が年平均24%の伸び率で8兆2000億元から23兆8000億元に増え、貸出平均金利が5年前と比べて1.5ポイント下がった。中小企業の下請代金支払遅延への対策を強化した。人民元為替相場は弾力性が増し、合理的な均衡水準付近で安定的に推移した。これまでの国有商業銀行や農村信用組合などの金融改革による債務1兆4486億元を完済した。市場化・法治化の方法を用いて大手企業グループ数社の経営危機に的確に対処し、経営リスクの高い中小金融機関のリスクを無事に解消し、大手金融機関が健全に発展し、金融システムが安定し、系統性リスクを生じさせないという最低ラインを守り切った。

  雇用優先という政策の方向性を固めた。雇用安定を経済が合理的な範囲内で推移することをはかる重要指標とした。市場化・社会化就業の促進に力を入れ、企業の雇用維持・創出への支援を強化した。年金納付額の職場負担割合を20%から16%に引き下げるとともに、全国社会保障基金を充実させ、その残高を1兆8000億元から2兆5000億元以上に増やした。雇用安定化のための雇用保険料還付、感染症対策事業継続一時金などの政策をうち出して実施した。大衆による起業・革新を持続的に推し進め、8年連続で「全国大衆による起業・革新週間」を実施し、参加者が累計5億2000万人を超え、起業による雇用の創出を奨励し、労働者の権利と利益の保護を強化し、新たな就業形態とフレキシブル就業が就業・収入増の重要なルートとなった。大学新卒者や退役軍人、農民工などの就職支援をしっかりと行った。雇用保険基金などの資金で職業訓練を支援した。高等職業学校学生募集拡大・職業技能向上3ヵ年行動を実施し、在学生が413万人増え、8300万人以上が職業訓練を受けた。雇用は民生の基本であり、富の源泉である。14億余りの人口を抱える大国で雇用の安定が保たれたことは、容易には得られない成果であり、大きな創造力を秘めている。

  物価の全般的安定を保った。衝撃に対応する中で、大規模な国債発行を継続せず、通貨の超過供給を行わなかったことは、物価安定の最大要因となった。農業生産に大いに取り組み、生産・販売連携と備蓄の調節を強化し、食糧やブタ、野菜などの安定供給を確保し、石炭・電力の需給ひっ迫を早急に解消し、家庭と企業のエネルギー需要を満たし、交通・物流の円滑な流れを守った。市場への監督管理を強化し、適正価格を維持した。この10年、わが国の消費者物価上昇率が2%前後という比較的低い水準に保たれたことは、簡卖そうに見えて、実に難しいことであった。これは、市場経済の秩序を守り、マクロ政策実施のための余地を残しただけでなく、基本的民生のより確実な保障につながった。

  (二)貧困脱却堅塁攻略戦に計画どおりに勝利し、貧困脱却堅塁攻略の成果を定着させ拡大した。小康社会の全面的完成において最も困難で最も重い任務は農村、とくに貧困地区での小康社会の実現であった。的確な貧困救済を堅持し、「三区三州(三区:①チベット自治区、②青海・四川・雲单・甘粙4省のチベット族住居地区、③新疆ウイグル自治区のカシュガル地区・ホータン地区・クズルスキルギス自治州・アクス地区。三州:四川省の涼山州、雲单省の怒江州、甘粙省の臨夏州)」などの極度貧困地区を対象に特別政策をうち出し、貧困脱却支援目的の資金を優先的に交付し、貧困脱却が困難な県と村で強力な監督と活動体制を敷いた。産業、雇用、生態、教育、健康、社会保障などの支援策を踏み込んで実施し、移住・転居後の継続的サポートを強化し、「両不愁三保障」に係る問題を重点的に解決したことで、脱貧困後の衣食・教育・医療・住宅が保障され、安全な飲用水も確保された。貧困地域の農村住民の収入が大幅に増え、生活環境と生産基盤が著しく改善された。

  貧困脱却堅塁攻略の成果の定着・拡大から農村振興への円滑な移行を推し進めた。移行期間中にも主な支援策を継続し、「四つのゼロにしない(貧困がゼロになっても責任・政策・支援・監督管理はゼロにしない)」という要求を厳格に守り、再貧困化防止のための動的モニタリング・サポートの仕組みを確立して充実させ、感染症や災害などの被害に力強く対応し、集団的な再貧困化を防いだ。160の国家農村振興重点支援県を指定して重点的に支援し、移住・転居による脱貧困世帯集住地域など重点地域への支援を強化し、東部・西部の連携や対口支援、地域指定型サポートなどの仕組みを堅持して充実させ、優秀な人材を医療支援団、教育支援団、科学技術特派員として派遣し、脱貧困地区の加速度的発展と人々の安定した収入増を促進した。

  (三)重点分野とカギとなる部分にフォーカスして改革を深化させ、市場活力と民間の創造力をいっそう引き出した。社会主義市場経済改革の方向を堅持し、政府と市場の関係を適切に処理し、資源配分において市場に決定的な役割を果たさせ、政府の役割をよりよく発揮し、効果的な市場と機能的な政府のよりよい連携を促した。

  政府の機能転換を持続的に推進した。国務院と地方政府の機構改革を完了した。全国統一大市場の整備を加速し、ハイスタンダードな市場体系を整備し、市場化・法治化・国際化したビジネス環境を整備した。「大道は至りて簡し」というように、行政手続は簡素化するほどより円滑に実施することができる。政府自身の利益に係る改革を持続的に推進した。行政簡素化と権限委譲をいっそう進め、市場参入規制を緩和し、市場参入ネガティブリスト制度を全面的に実施し、最新版リストでは規制項目数が64%減り、行政許認可事項をすべてリストアップした。この数年で、廃止または委譲された許認可事項は1000を超え、国の許認可が必要な投資分野は9割以上減り、工業製品生産許可証は60種類から10種類に減り、建設工事プロジェクトの全工程審査期間が120業務日以内に短縮した。商事制度の改革を行い、「『証』と『照』の分離(経営許可証取得[審査・認可]が先で営業執照取得[商業登記]が後という強制的順序をなくし、後者さえ済めば開業できるようにすること)」改革を進め、開業届の審査期間を1ヵ月以上から平均4業務日以内に短縮し、中小・零細企業向け簡易登録抹消制度を実施した。「緩和と管理の結合」を堅持し、事中・事後の監督管理を強化し、監督管理責任を徹底し、監督管理の不行き届きと管理なき緩和を防ぎ、食品・医薬品など重点分野の品質と安全性への監督管理を強化し、「双無作為、一公開(検査要員と検査対象を無作為抽出し、検査結果と処分について速やかに公開する)」式などの横展開で監督管理の公正を確保し、行政裁量権の行使を規範化した。私的独占・不正競争の取締りを強化し、公正競争審査制度を全面的に実施し、独占禁止法執行体制を改革した。法に基づいて資本が健全に発展するよう規範化し導き、法に基づいて資本の無秩序な拡張を断固として規制した。行政サービスを不断に改善し、行政サービスのワンストップ化を推し進め、申請書類を減らし、デジタル政府の建設を加速した結果、90%以上の行政サービスがオンライン化し、戸籍証明書や社会保険の切り替えなど200以上の需要の高い行政サービスがどこでも受けられるようになった。

  省境高速道路料金所をすべて撤廃した。ビジネス環境改善条例や市場主体登記管理条例、自営業者発展促進条例、中小企業への代金支払い保障条例などの条例を制定し実施した。改革は、人々のビジネス活動と企業経営をいっそう便利にして可能性をもたらし、昨年末時点で、5200万社超の企業と1億1000万人超の自営業者数を含む1億6000万を超える市場主体の規模が10年前の3倍となり、発展の内生的原動力が著しく強まった。

  多種類の所有制経済の共同発展を促進した。社会主義の基本的経済制度を堅持し充実させ、「二つの揺るぐことなく(①揺るぐことなく公有制経済をうち固めて発展させ、②揺るぐことなく非公有制経済の発展を奨励・支援・リードする)」を堅持した。国有企業改革3ヵ年行動の任務を完遂し、現代企業制度を整え、国有企業の主力事業に特化した事業再編と経営改善を推し進めた。民間企業の健全な発展を促進し、さまざまな見えない障壁を取り除き、政策の下の平等を徹底し、民間投資意欲を高めた。財産権保護制度を充実させ、企業家の合法的な権利・利益を保護し、企業家精神を発揚した。

  財政・金融体制改革を推し進めた。予算管理体制改革を深化させ、予算公開をいっそう進め、中央と地方の財政権限と支出責任の区分改革を推進し、地方政府債管理体系を整備し、総合課税と分離課税を組み合わせた個人所得税制度を確立し、租税徴収管理の改革をいっそう深化させた。金融監督管理体制の改革を推し進め、中小銀行の増資と改革によるリスク解消を統一的に推進し、株式発行登録制改革を推進し、資本市場の基礎制度を整え、金融安定のための法治建設を強化した。

  (四)革新駆動型発展戦略を踏み込んで実施し、産業構造の最適化・高度化を推進した。供給側構造改革を深化させ、国家と地方のイノベーション体系を充実させ、科学技術の自立自強を推進し、イノベーションにしっかりと依拠して実体経済の高度化をはかり、発展の新たな原動力を絶えず生み出し大きく育て、外部からの抑圧・阻害に効果的に対応した。

  科学技術イノベーションの先導的役割を強化した。国家戦略的科学技術力を強化し、一連の科学技術イノベーション重要プロジェクトを実施し、基幹核心技術開発を強化した。高等教育機関、科学技術研究機関の機能の発揮をはかり、新型研究開発機関の発展をサポートした。国際科学技術イノベーションセンターと地域科学技術イノベーションセンターの整備を推進し、統合型国家科学センターを配置して整備した。基礎研究と応用基礎研究を支援し、全国の基礎研究費が5年間で倍増した。科学研究のプロジェクト管理・経費管理制度を改革し、科学研究機関と研究者により大きな自主権を与え、努めて広範な研究者を煩雑な事務作業から解放した。知的財産権の保護を強化し、知的創造意欲を引き出した。科学技術関連の国際交流・協力を促進した。市場化メカニズムによって企業のイノベーションを奨励し、企業の研究開発費加算控除比率を不断に引き上げ、製造業企業と研究開発型中小企業の研究開発費加算控除比率をそれぞれ50%、75%から100%に引き上げ、さらにその他の加算控除比率75%の企業を対象に一時的に100%に引き上げ、企業の基礎研究、設備取得に政策的支援を与え、さまざまなイノベーション促進のための優遇税制の年間実施規模が1兆元を超えた。イノベーション促進金融政策ツールを創設し、ベンチャー投資などの発展を誘導した。企業の研究開発費が2桁の伸び率を保ち、数多くのイノベーション企業が頭角を現した。

  産業のミドル・ハイエンドへの邁進を後押しした。製造業を実体経済発展の重点とし、工業経済の安定成長を促し、製造業の割合の基本的安定を保った。環境・品質・安全性などの法規・基準を厳格に執行し、生産性の低い設備の廃棄を推進した。重点産業サプライチェーン強靭化行動を展開した。一連の産業基盤再構築プロジェクトをスタートさせた。企業の早急な設備更新・技術改良を奨励するために、固定資産加速償却という優遇税制を製造業全体に適用させた。ハイエンド設備やバイオ医薬品、光電子工学、新エネルギー車、太陽光発電、風力発電などの新興産業の発展の加速を促した。デジタル経済と実体経済との高度な融合を促した。インターネットの通信速度の引き上げと料金の引き下げを継続して推し進め、「インターネット+」を発展させた。移動系通信の契約数が14億5000万件に増えた。インダストリアル・インターネットの発展をサポートし、製造業のデジタル化・スマート化を強力に推進した。「専・精・特・新」中小企業が7万社以上に達した。プラットフォームエコノミーの健全で持続的な成長を促進し、雇用創出、起業促進、消費市場の開拓、生産方式の刷新などをもたらした。研究開発・設計、現代物流、検査・測定・認証などの生産者向けサービス業を発展させた。全面的な品質管理と品質インフラ(NQI)の整備を強化した。中国製造の品質と競争力が絶えず高まった。

  (五)国内の有効需要を拡大し、地域間調和発展と新型都市化を推進した。

  新たな発展の形の構築を中心に据え、超大規模市場のもつ優位性を拠り所とし、内需拡大戦略を堅持し、より多くの経済成長分野を見出した。

  消費と有効投資の拡大に力を入れた。パンデミックの発生前から、消費はすでにわが国の経済成長を牽引する主な原動力となっていた。需要が伸び悩み、一時は縮小傾向にあったが、消費の早期回復を促した。さまざまな方途で住民の所得増を促進し、中低所得層の収入を引き上げた。自動車や家電製品などの耐久財消費をサポートし、自動車保有台数が46.7%増となり、3億台を突破した。オンライン消費とオフライン消費の高度な融合を推進し、オンライン小売額の社会消費財小売総額に占める割合が15.8%から27.2%に拡大した。都市部の近隣商業施設を充実させ、農村部の配送ネットワークを整備した。観光業の発展を支援した。不備補完、構造調整、持続力強化をはかり有効投資を拡大した。財政投融資の体制と仕組みを刷新し、予算内投資の呼び水効果による民間投資は何倍にも増え、地方政府特別債の限度額を引き上げ、交通、水利、エネルギー、情報などのインフラ整備と民生プロジェクトの実行を重点的に支援し、民間資本の整備・運営への参加を誘導し、民間資本の活力を活用した。

  地域間発展の均衡性と調和性を増強した。西部大開発、東北の全面的振興、中部地区の興隆、東部の先行発展を統一的に推進し、中・西部地区の経済成長率が全般的に東部地区を上回った。旧革命根拠地・民族地区・辺境地区への支援を強化し、関連地域への財政移転が5年前と比べて66.8%増えた。京津冀(北京市・天津市・河北省)協同発展、長江経済ベルト発展、長江デルタ一体化発展を推し進め、黄河流域の生態系保全と質の高い発展を促進した。ハイスタンダードでハイクオリティな雄安新区を建設した。海洋経済を推進した。後進地区の発展を支援し、資源依存型地域の産業構造再編を促し、余力のある地域のさらなる牽引力発揮を奨励し、より多くの新興都市、新興地域の形成を推し進めた。

  人間を核心とする新型都市化を持続的に推進した。わが国は依然として都市化の途上にあり、毎年1千万人規模の農村人口が都市部に移住している。都市、とくに県城(県政府所在地)の都市機能を増進させ、総合受入能力を高めた。都市部への戸籍転入規制を類別に緩和または廃止し、この10年で1億4000万人の農村人口が都市部に転籍した。都市群と都市圏の形成を計画的に推進し、大中小都市の調和発展を推し進めた。成都・重慶二極経済圏の建設を進めた。「住宅は住むためのものであり、投機のためのものではない」という見地を堅持し、不動産の長期的かつ効果的な仕組みを確立・実施し、保障タイプ住宅の供給を拡大し、賃貸市場における長期賃貸契約の普及を後押しし、土地価格、住宅価格、期待を安定させ、都市別の施策により不動産市場の健全な発展を促進した。都市部のインフラ整備を強化し、軌道系交通の営業距離が4500余キロから1万キロ近くに、排水管網が63万キロから89万キロに伸びた。16万7000ヵ所の都市部老朽住宅地の改修を行い、2900余万世帯がその利益を受けた。

  (六)国家食糧安全保障を確保し、農村振興戦略に大いに取り組んだ。「強農・恵農」政策を充実させ、農業生産にたゆまずしっかりと取り組み、農業・農村の現代化を加速した。

  農業の総合生産能力を高めた。食糧作付面積を確保・拡大し、大豆などの油糧作物の作付面積を拡大し、農業生産の構造・配置を最適化し、卖位面積当たりの収穫量と品質を向上させた。食糧生産支援策を充実させ、食糧農家向け補助金の給付を継続し、籾米・小麦の最低買付価格を合理的に設定し、食糧主要生産県への奨励金を増やし、公的農業保険を充実させた。耕地の保護を強化し、黒土地帯保全事業を実施し、水利施設の保全と整備を行い、3040万ヘクタールの高基準農地を新規造成した。国家食糧安全保障産業ベルトの形成を推進した。種子や農業機械などの研究開発・普及を加速し、農作物耕耘・作付け・収穫の総合機械化率が67%から73%に上がった。食糧安全保障について党委員会・政府がともに責任を負う方針を全面的に貫徹し、食糧など重要農産物の安定生産と安定供給を強化して、終始怠ることなく14億余りの中国人の食糧を自らの手でしっかりと賄った。

  農村の改革と発展を着実に推し進めた。農村基本経営制度を定着・充実させ、請負地利用権の設定・登録・証明書交付と農村集団財産権制度改革の中間目標を達成し、多様な形態の適正規模経営を着実に推し進め、家族農業と農民合作社の発展にしっかりと取り組み、農業支援サービスの発展を加速した。農村整備事業を始動させ、農村の居住環境を持続的に改善し、水道、電気、道路、ガス、通信、郵便などのインフラ整備を強化し、条件を満たすすべての郷鎮・行政村で舗装道路と路線バスの開通を実現し、農村の上水道普及率が80%から87%に上がり、この数年で農村の老朽危険家屋を累計2400万戸以上改築した。

  供銷合作社改革、集団林権改革、農墾改革などを深化させた。地域資源を活用した地場産業の形成を進め、農民の兼業・起業による収入増を促した。農民工賃金の期日どおりの全額受給を保障するために、農民工賃金遅配問題の解決に持続的に取り組み、農民工賃金支払遅延防止条例を公布・実施し、悪質な遅配を厳しく罰した。

  (七)対外開放を揺るぐことなく拡大し、互恵ウィンウィンを旨とする国際貿易経済協力を深化させた。外部環境の変化に直面して、より積極的かつ能動的な開放戦略を実施し、ハイレベルの開放を通じて改革と発展をより力強く促進した。

  輸出入の量的安定と質的向上をはかった。輸出割戻し税や信用保険、輸出金融などの政策的支援を強化し、企業の輸出割戻し税の手続期間を6業務日以内に短縮した。外貨両替関連業務を改善した。貿易の新業態を発展させ、152の越境Eコマース総合試験区を新設し、多くの海外倉庫の設置を支援した。中国国際輸入博覧会や中国輸出入商品交易会(広州交易会)、中国国際サービス貿易交易会、中国国際消費財博覧会など実り多い大型展示会を開催した。通関の利便化を推進したことで、輸入と輸出の通関手続所要時間がそれぞれ67%、92%短縮し、通関コンプライアンスコストが明らかに下がった。平均関税率が9.8%から7.4%に下がった。サービス貿易革新発展の試行を全面的に深化させ、サービス貿易ネガティブリストをうち出した。貿易の安定成長は経済成長を力強く支えた。

  外資を積極的かつ効果的に活用した。外商投資法実施条例をうち出し、外資誘致に向けたビジネス環境の整備を持続的に進めた。外資参入規制を持続的に緩和し、全国および自由貿易試験区の外資参入ネガティブリストの項目数がそれぞれ51%、72%減り、製造業への参入規制がほぼ撤廃され、金融業などサービス業の段階的な開放が進んだ。21の自由貿易試験区を設立し、海单自由貿易港の整備を着実に推進した。各地区は外資誘致に向けた行政サービスを刷新し、外国企業誘致と着地までのフォローアップにいっそう力を入れた。一連の大型外資プロジェクトが着地し、わが国は国際資本の魅力的な投資先であり続けた。

  質の高い「一帯一路」共同建設を推し進めた。共同協議・共同建設・共同享受を堅持し、市場主導の原則と国際慣習法を守り、一連の越境インフラ整備プロジェクトと生産能力をめぐる国際協力プロジェクトを実施したことで、沿線諸国との財貿易額が年平均で13.4%伸び、各分野の交流・協力は絶えず深化した。西部陸海新ルートの整備を推進した。対外投資の健全で秩序ある発展を導き、対外投資をめぐるリスク対策を強化した。新たに6つの自由貿易協定(FTA)を締結または改定し、協定相手国との財貿易額が全体の26%から35%前後に拡大した。多角的貿易体制を断固として守り、保護貿易主義に反対し、貿易摩擦に穏当に対応し、貿易と投資の自由化・円滑化を促進した。

  (八)生態環境保護を強化し、グリーン・低炭素化を推し進めた。緑の山河は金山・銀山にほかならないという理念を堅持し、生態文明制度体系を整備し、経済成長と環境保全を両立させ、サステナビリティを不断に高めた。

  汚染対策と生態系保全を強化した。的確で科学的かつ法に基づく汚染対策を堅持し、汚染対策の重点事業を踏み込んで推進した。複数の汚染物質の統合的対策と汚染対策の広域連携を重視し、地区級都市および地区級以上の都市の大気質優良日の割合が4ポイント増の86.5%となった。地区級都市および地区級以上の都市の「黒臭水」はほとんどなくなり、重要河川・湖沼と近海の汚染対策が進んだ。土壌汚染リスク防止と浄化にいっそう力を入れ、固形廃棄物と新汚染物質の対策を強化した。耕地・恒久基本農地レッドライン、生態系保全レッドライン、市街化区域を全面的に画定した。山・川・林・田・湖・原・砂の一体化した保護と系統的な対策を堅持し、一連の重要生態系保全プロジェクトを実施し、河長制・湖長制・林長制を全面的に普及させた。長江の生態系保全の流域連携を推進し、長江流域の重点水域での10年間の禁漁をさらに実施した。生物多様性の保全を強化した。生態保護補償制度を整えた。森林率が24%に達し、草原植被率と湿地保護率がそれぞれ50%を超え、土壌水食、砂漠化、砂化した土地面積がそれぞれ10万6000平方キロ、3万8000平方キロ、3万3000平方キロ純減した。人々はよりいっそう自然豊かな暮らしが送れるようになった。

  省エネ・低炭素化を着実に推し進めた。エネルギーの安全で安定した供給とグリーン・低炭素化を総合的に考慮し、二酸化炭素排出量のピークアウトとカーボンニュートラルを科学的に計画的に推進した。エネルギー消費構造を最適化し、超低排出の石炭火力発電ユニットは1050ギガワット以上となり、再生可能エネルギー発電設備容量は650ギガワットから1200ギガワット以上に増加し、クリーンエネルギー消費の割合が20.8%から25%以上に拡大した。資源節約の取組を全面的に強化し、グリーン産業と循環型経済を発展させ、省エネで環境に配慮した技術と製品の研究開発と応用を促進した。生態系の二酸化炭素吸収能力を高めた。環境金融を強化した。エネルギー消費基準を見直した。気候変動に関する国際協力に積極的に参加し、グローバル気候ガバナンスの推進に中国の貢献をした。

  (九)民生を確実に保障・改善し、社会諸事業の発展を加速した。人民を中心とする発展思想を実践し、民生への投入を持続的に増やし、「基本的生活の保障、最低ラインの厳守、公平の促進」に注力し、公共サービスを向上させ、基本公共サービスの均等化を推し進め、発展の中で民生福祉を不断に増進した。

  教育の公平と質的向上を促進した。百年の大計は教育を根本とする。公的教育費の対GDP比が毎年4%以上を保ち、学生1人当たりの公的教育費が大幅に増えた。農村義務教育改善の取組に持続的に力を入れ、都市部の「すし詰め学級」をおおむね解消し、都市部の出稼ぎ世帯の就学問題の解決を促し、義務教育修了率を93.8%から95.5%に引き上げた。義務教育を国が統一的に実施することを堅持し、民間教育の発展を指導し規範化した。義務教育段階の学業の負担を軽減した。青尐年の健康増進をはかった。年間3700万人余りの小中学生を対象に栄養改善計画を持続的に実施した。教員、とくに農村教員の処遇を保障した。さまざまな方途で幼児教育・保育の受け皿を拡大した。後期中等教育の粗就学率が90%以上に高まった。職業教育の適応性が高まり、職業学校の教育環境が持続的に改善された。大学入試総合改革を積極的かつ穏当に推し進めたことで、高等教育の粗就学率が45.7%から59.6%に上がり、中・西部地区出身者および農村出身者を対象とする入試枠が年々拡大した。経済的困難を抱える大学生を対象に貸与型政府奨学金の限度額を大幅に引き上げた。「強基計画」と基礎学科卓越人材育成計画を踏み込んで実施し、288の基礎学科優秀学生育成拠点を整備し、世界一流大学・学科づくりを継続的に推進し、発展の人材基盤を強化し続けた。

  医療衛生サービス能力を向上させた。「健康中国」行動にいっそう取り組み、その普及に努め、医療・医薬品・医療保険・公衆衛生体制改革を深化させ、基本医療衛生制度を公共財として全国民に提供し、医療のアクセシビリティ向上と患者の自己負担軽減をいっそうはかった。基本医療保険と重大疾患保険を持続的に充実させ、都市・農村住民基本医療保険の1人当たりの公費負担額を450元から610元に引き上げた。より多くの需要の高い医薬品を医療保険の適用対象とした。指定医療機関での入院と外来についてすべての地域医療保険の即時適用を実現し、のべ5700余万人が利用した。医薬品と医療材料の数量ベース調達を実施したことで、医療費が4000億元以上軽減された。13の国家医学センターを設置し、76の国家級地域医療センターを指定して整備を進めた。公立病院総合改革を全面的に展開し、県域の医療衛生サービス能力を持続的に向上させ、医療の役割分担と連携を推進した。高齢者などのための医療サービスを向上させた。中国医学・薬学の伝承・イノベーションとさらなる普及を促進した。基本公衆衛生サービス費用の1人当たりの公費負担額を50元から84元に引き上げた。予防することに重きをおいて、重度慢性疾患管理を強化した。疾病予防管理体系を改革して充実させ、国家疾病予防管理局を設立し、重大感染症の予防・管理・救命・治療体系と応急物資保障体系を整備し、人々の健康を全力で守った。

  社会保障とサービスを強化した。基本年金基金の中央調整制度を確立し、基本年金受給額を毎年引き上げ、都市・農村住民の基礎年金最低受給額を引き上げ、都市・農村の生活保護、恩給援護、失業・労災保障などの給付基準を段階的に引き上げた。人口高齢化に積極的に対応し、高齢者事業と養老産業の発展を推進した。コミュニティと在宅介護サービスを発展させ、関連施設とバリアフリー環境の整備を強化し、税金・公共料金、家賃、水道光熱費などの面で優遇措置をとった。医療と介護の一体化を推進し、長期介護保険制度の試行を着々と推し進めた。「三人っ子」出産政策および包括的支援措置を実施した。退役軍人管理・保障制度を整え、その保障内容を充実させた。女性と子どもの権利・利益の保障を強化した。未成年者保護制度を整えた。障碍者の保障と思いやりサポート体系を充実させた。社会救済体系を整え、低所得層への動的モニタリングを強化し、緊急かつ一時的に生計の維持が困難となった人々を速やかにサポートし、年平均で1100万人が緊急救済を受け、生活困窮層を対象とする社会的セーフティネットをしっかりと張りめぐらせた。

  人々の精神文化生活を豊かにした。社会主義核心的価値観を浸透させて実践を促した。大衆的文化活動の創出を深化させた。報道・出版や放送・映像、文学・芸術、哲学・社会科学、公文書管理などの事業を発展させ、シンクタンクを強化した。メディア・ミックスを着実に推進した。海外発信力を高めた。インターネットコンテンツの製作を強化・革新した。中華の優れた伝統文化を継承し、文化財と文化遺産の保護・伝承を強化した。文化利民プロジェクトを実施し、公共図書館・博物館・美術館・文化施設が無料で開放された。全国民読書キャンペーンを踏み込んで推し進めた。文化産業の発展を後押しした。国の科学普及能力を強化した。中国のスポーツ選手たちは健闘して優れた成績を収め、全国民健康増進を広く展開した。

  (十)政府の法に基づく職責履行と社会統治の刷新を推進し、社会の大局の安定を保った。法治政府建設を強化し、経済・社会活動において法治主義をいっそう徹底した。法に基づく行政と大道を公と為すことを堅持し、厳格で規範化された公正かつ理性的な法執行を行った。政府の権力は人民から与えられたものであり、権力を決して好き勝手には用いず、必ず監督のもとに用いる。法律・法規と規則・制度の整備を推し進め、全国人民代表大会常務委員会に50本の法案を提出して審議を求め、180本の行政法規を制定または改正した。法に基づいて現地の人民代表大会とその常務委員会の監督を受け、自覚的に人民政治協商会議の民主的監督を受け、すすんで世論の監督を受けた。人民代表大会代表の提言と政治協商会議委員の提案に真摯に対応した。会計監査と統計監査を強化した。情報公開を進めた。国務院大監察を行った。労働組合や共産主義青年団、婦女連合会などの社会団体・組織のよりよい役割発揮を後押しした。

  社会統治を強化・革新した。市域社会統治現代化を推し進め、末端統治を改善し、コミュニティサービスを最適化した。民間団体、赤十字運動、ソーシャルワーク、ボランティア活動、公益・慈善活動などの健全な発展をサポートした。懸案の投書・陳情への対応に力を入れた。社会信用体系の整備を推し進めた。公共法律サービス体系を充実させた。食品、医薬品、とくにワクチンへの監督管理を厳格に行った。労働安全特別対策を行った。緊急時対応体制を改革・強化し、防災・減災・災害救助能力を高め、水害・干害、森林・草原火災、地質災害、地震などの対策と気象情報サービスをしっかりと行った。国家安全保障体系の構築と能力の向上を踏み込んで推進した。サイバーセキュリティとデータセキュリティ、個人情報保護を強化した。治安総合対策を持続的に強化し、各種の違法・犯罪活動を厳しく取り締まり、反社会的勢力特別対策を展開し、法に基づいて反社会的勢力とその後ろ盾を厳しく罰し、「平安中国」建設と「法治中国」建設は新たな進展を見せた。

  代表のみなさん

  この5年、各級政府は党中央の全面的な厳しい党内統治についての戦略的配置を真剣に貫徹・実施し、「初心を忘れず、使命を胸に刻もう」というテーマの教育と党史の学習・教育を着実に進め、偉大な建党精神を発揚し、中央の「八項目規定」の精神を厳格に実践し、「四つの悪風」を粘り強く正し、形式主義と官僚主義を重点的に正し、「三公経費」を大幅に削減した。規定違反の庁舎新築・改築や脱税などの行為を厳しく罰した。廉潔政府の建設を強化した。政府活動に携わる者は自覚的に法律による監督、監察による監督、人民による監督を受けた。

  経済・社会の発展に近道はなく、地道な努力が肝要である。この5年、終始一貫して習近平「新時代の中国の特色ある社会主義」思想を導きとし、党の基本理論、基本路線、基本方針を全面的に貫徹した。経済建設をしっかりと中心に据え、力を入れて質の高い発展を促し、困難を恐れず、果敢に立ち向かった。地道な努力で公約を守り、全力で経済の発展に取り組んだ。人民の要望を施政の方向とし、終始人民を第一に考え、すべてにおいて人民の利益を重んじ、大衆の声に真剣に耳を傾け、大衆の日々の暮らしをしっかりと把握し、人民大衆の悩みや希望に努めて応えた。実事求是を堅持し、客観的法則を尊重し、空理空論に終始し、大風呂敷を広げ、口先だけでむこうみずのやり方に断固反対した。改革の方法と粘り強い精神により難題を解決して活力を引き出し、責任を果たすことを奨励し、能力不足や職務怠慢の責任を追及した。人民大衆の創造精神を尊重し、各方面の活力を十分に引き出して発展を後押しする大きな力を結集した。

  代表のみなさん

  この5年、民族関連業務、宗教関連業務と華僑関連業務が刷新・改善された。平等・団結・互助・調和の社会主義民族関係を強くし発展させ、民族の団結・進歩に新たな気運がみられた。党の宗教関連業務の基本方針を貫徹し、わが国の宗教の中国化を着実に進めた。引き続き華僑関連業務をしっかりと行い、祖国の現代化建設における海外の華僑同胞独特の強みと重要な役割を十分に発揮させた。

  人民軍隊に対する党の絶対的指導を堅持し、国防・軍隊整備において新たに一連の大きな成果を収め、大きな変革を遂げた。人民軍隊が政治主導の軍隊建設、改革による軍隊強化、科学技術による軍隊強化、人材による軍隊強化、法に基づく軍隊統治をさらに推進し、訓練・戦備をいっそう進めたことで、現代化水準と実戦能力は著しく高まった。確固たる意志と柔軟な行動で軍事闘争を行い、国境警備、海上の諸権益の擁護、テロ取締り・治安維持、災害救助、感染症対策、国際平和維持・船舶護衛などの重要任務を効果的に遂行し、国防動員能力を高め、国家の主権・安全・発展の利益を力強く守り抜いた。

  香港・澳門・台湾関連業務に新たな進展がみられた。憲法と基本法に基づいて特別行政区に対し全面的な管轄統治権を効果的に行使し、香港特別行政区国家安全維持法を制定して施行し、「愛国者による香港統治」、「愛国者による澳門統治」という原則を徹底し、香港が社会秩序回復から繁栄興隆の新段階に入るよう推し進めた。粤港澳(広東・香港・澳門)大湾区の建設をさらに進め、香港・澳門の経済発展、民生改善、感染症対策、安定維持を支援した。新時代の党の台湾問題解決の基本方策を貫徹し、分離反対・干渉反対の重要闘争に断固として取り組み、両岸関係の平和的発展を持続的に促進した。

  中国の特色ある大国外交を全面的に推し進めた。習近平主席をはじめとする指導部の面々は各国を歴訪し、オンライン・オフライン形式で20ヵ国・地域(G20)首脳会議、アジア太平洋経済協力(APEC)非公式首脳会議、国連創設75周年記念ハイレベル会合、東アジアサミット(EAS)・関連会議(ASEAN+1、ASEAN+3等)、中国・EU首脳会議など一連の重要外交行事に出席した。上海協力機構(SCO)青島サミット、ブリックス(BRICS)首脳会議、グローバル発展ハイレベル対話、「一帯一路」国際協力サミット、中国・アフリカ協力フォーラム北京サミットなど、重要なホームグラウンド外交を成功させた。毅然とした態度と柔軟な対応を堅持して、わが国の主権・安全・発展の利益をしっかりと守った。グローバル・パートナーシップを積極的に構築し、開かれた世界経済の形成に力を尽くし、多国間主義を守り、人類運命共同体の構築を推進した。中国は責任ある大国として、感染症対策の国際協力の推進、地球規模の課題への対応、地域的な緊張や紛争などの解決に重要かつ建設的な役割を果たし、世界の平和・発展促進に重要な貢献をした。

  代表のみなさん

  近年、わが国の発展において収めた成果は、習近平同志を核心とする党中央の力強い指導のたまものであり、習近平「新時代の中国の特色ある社会主義」思想の科学的な導きのたまものであり、全党・全軍・全国各民族人民の団結奮闘のたまものである。わたくしは国務院を代表し、全国各民族人民、民主諸党派、各人民団体ならびに各界の方々に対して、心から感謝の意を表すものである。また、香港特別行政区の同胞、澳門特別行政区の同胞、台湾の同胞ならびに海外の華僑同胞に対して、心から感謝の意を表すものである。そして、中国の現代化建設に関心を寄せ、力添えいただいている各国政府、国際組織、各国の友人のみなさんに対して、心から感謝の意を表すものである。

  われわれは発展の成果を認めると同時に、次のように冷静に見て取らなければならない。わが国は発展途上大国として、今なお社会主義の初級段階にあり、発展の不均衡・不十分という問題が依然として際立っている。足下の発展はさまざまな困難と試練に直面している。外部環境が不確実性を増し、世界的にインフレ率が高止まりし、世界経済・貿易成長の原動力が弱まり、外部からの抑圧・阻害がエスカレートしている。国内経済の安定成長の基盤はいっそう強化される必要があり、需要不足が依然として際立ち、民間投資と民間企業の先行きが不透明で、多くの中小・零細企業や自営業者が深刻な経営難に直面し、雇用対策は非常に困難であり、一部の地方政府の財政難がさらに深刻になっている。不動産市場が数多くのリスクを抱え、一部の中小金融機関のリスクが顕在化している。発展において体制・仕組み上の障壁が依然として多くみられる。科学技術イノベーション能力が伸び悩んでいる。生態環境保護は前途多難である。防災・減災面などで都市・農村部のインフラに明らかな脆弱性がみられる。民生分野に問題点が多々ある。形式主義・官僚主義が依然として目立ち、一部の地方政府に政策実施の硬直化、ノルマの上乗せがみられ、一部の幹部は職務を怠り、職権を濫用し、前例踏襲で、現実を見ず、大衆の意思を無視し、大衆の合法的な権利・利益を軽んじるなどの問題がある。一部の分野、業種、地方で腐敗問題が時折起きている。政府活動に対する人民大衆の意見や提案を重視する必要がある。問題と課題に立ち向かい、全身全霊を傾けて政府活動の改善に取り組み、人民の切なる負託に応えなければならない。

  二、2023年政府活動についての提案

  今年は第20回党大会の精神を全面的に貫徹する最初の年である。政府活動を完遂すべく、習近平同志を核心とする党中央の力強い指導の下、習近平「新時代の中国の特色ある社会主義」思想を導きとし、第20回党大会の精神を全面的に貫徹・実施し、中央経済工作会議の活動計画に基づき、中国式現代化を着実に推進し、「安定を保ちつつ前進を求める」という活動全体の基調を堅持し、新たな発展理念を完全・正確・全面的に貫徹し、新たな発展の形の構築を加速し、質の高い発展の推進に力を入れ、国内と国際という二つの大局、感染症対策と経済・社会発展、発展と安全をいっそう統一的に考慮するとともに、改革開放を全面的に深化させ、市場期待を大きく押し上げ、内需拡大戦略の実施と供給側構造改革の深化を有機的に結び付け、経済・雇用・物価の安定を優先させ、重大リスクを効果的に防止・解消し、景気の全般的好転を促し、効果的な経済の質的向上と適正な規模拡大を実現し、民生を持続的に改善し、社会の大局の安定を保ち、社会主義現代化国家の全面的建設に向けて幸先の良いスタートを切らなければならない。

  今年の主な所期目標は次のとおりである。◇GDPの伸び率は5%前後とする。◇都市部の新規就業者数は1200万人前後とし、都市部調査失業率は5.5%前後とする。◇消費者物価の上昇幅は3%前後とする。◇住民所得の伸び率は経済成長率とほぼ同ペースに保つ。◇輸出入の量的安定と質的向上をはかり、国際収支を均衡に導く。◇食糧生産量は6億5000万トン以上に維持する。◇GDP当たりのエネルギー消費量と主要汚染物質の排出量を引き続き減尐させ、化石燃料の消費を重点的に抑制し、生態環境を着実に改善する。

  「安定を前提に成長を求める」ことを堅持して、戦略的チャンスとリスクが並存し、不確実性が増す中で、政策の連続性・安定性・的確性を保ち、政策間の整合性を高め、質の高い発展を後押しするシナジーを生み出す。積極的な財政政策はいっそう強化してその効果を高める。財政赤字の対GDP比は3%とする。優遇税制を見直して、現行の減税・料金引き下げや税金還付、納付猶予などの措置について、延長すべきものは延長し、調整すべきものは調整する。末端政府の「三つの保障」にしっかりと取り組む。穏健な金融政策は的確で強力なものにする。広義マネーサプライ(M)と社会融資規模(企業や個人の資金調達総額)の拡大ペースはGDP名目成長率との基本的一致を保ち、実体経済の発展を後押しする。人民元為替相場の合理的な均衡水準での堅調な推移を保つ。産業政策は発展と安全を両立させる。在来産業の改造・高度化を促進し、戦略的新興産業を大きく育成し、産業チェーンにおける脆弱部分を重点的に補強する。科学技術政策は、自立自強を焦点としながら、国際協力を継続する。新型挙国体制を整え、基幹核心技術開発において政府主導を徹底し、企業の技術革新を支援し、技術革新における企業の主体的地位を際立たせ、研究者と研究チームの育成支援を強化する。社会政策は社会的セーフティネットをしっかりと張りめぐらせる。雇用優先政策を各地で徹底し、若者、とくに大学新卒者の就職支援により優先的に取り組み、基本的民生を確実に保障する。

  現在、わが国の新型コロナウイルス対策は「乙類乙管」に移行し、これまでの感染症対策を全面的かつ科学的に評価した上で、より科学的に、的確に、効率よく感染症対策に取り組み、健康維持と重症化予防を指針とし、高齢者や子ども、基礎疾患のある者の感染予防と治療を重点的に行い、感染監視を強化し、新ワクチンと新薬の開発を進め、大衆の医療需要を確実に充足し、人民の命と健康をしっかりと守る。

  今年は政府改選の年である。これまで触れてきた経済・社会発展の諸分野・各方面の活動は、今後もたゆまず取り組み続ける必要がある。これから要点を述べていく。

  (一)内需拡大に力を入れる。消費の回復・拡大を優先させる。さまざまな方途で住民の所得を増やす。自動車など耐久財消費を維持し、飲食や文化、観光、スポーツなど個人向けサービス消費の回復を促す。政府投資と政策的奨励により民間投資を効果的に促し、今年の地方政府特別債は3兆8000億元とし、第14次5ヵ年計画の重要プロジェクトの実施を加速し、都市再生行動を実施し、各地域の相互補完的な優位性発揮を促し、感染症の影響が深刻な地域の経済・社会発展支援をさらに強化し、より多くの民間資本の国家重要プロジェクトと脆弱部分補強プロジェクトへの参加を奨励して呼び込み、民間投資の活力を喚起する。

  (二)現代化産業体系の構築を加速する。科学技術イノベーションによる産業発展への支えを強化する。サプライチェーン強靭化行動を継続し、製造業の重点産業チェーンに関して、国を挙げて基幹核心技術開発に取り組み、イノベーションの活力を十分に引き出す。国内の重要エネルギー資源・鉱産資源の探査・開発による賦存量・生産量増加を強化する。在来産業・中小企業のデジタル化を加速し、ハイエンド化・スマート化・グリーン化に注力する。先端技術の研究開発と応用・普及を加速し、社会実装を促す。高効率で円滑な物流体系を構築する。デジタル経済を大いに促進し、監理体制を整備し、プラットフォームエコノミーの発展を後押しする。

  (三)「二つの揺るぐことなく」を着実に実施する。国有資本・国有企業改革を深化させ、国有企業のコアコンピタンスを強化する。類別の改革を堅持し、国有企業の経済的責任と社会的責任の関係を適切に処理し、中国の特色ある国有企業現代コーポレートガバナンスを整備する。民間企業の財産権と企業家の権利・利益を法に基づいて守り、関連政策を整備し、民間経済と民間企業の成長を奨励・サポートし、中小・零細企業と自営業者の発展を後押しし、親身で清廉な政財関係を構築し、各種所有制企業に公正かつ自由に競争できる環境を整え、実のある方策で市場の期待を安定させ、景況感を改善する。

  (四)外資の誘致・利用にいっそう力を入れる。市場参入規制を緩和し、現代サービス業をいっそう開放する。外資企業の内国民待遇を徹底する。環太平洋パートナーシップに関する包括的および先進的な協定(CPTPP)など高い水準の経済連携協定への加入交渉を積極的に推進し、関連ルール・規制・管理・基準に照らして制度型開放を着実に拡大する。地域別に開放の最適化をはかり、自由貿易試験区向上戦略を実施し、海单自由貿易港やさまざまな開発区など、開放プラットフォームにおける試行にしっかりと取り組む。貿易の経済を支える役割を持続的に発揮させる。外資企業をしっかりとサポートし、指定重要外資プロジェクトの着地を促す。開かれた中国大市場は、必ずや各国企業に中国でのさらなる成長機会をもたらすことができるであろう。

  (五)経済・金融分野の重大リスクを効果的に防止・解消する。金融体制改革を深化させ、監督管理を強め、関係各所の責任を徹底し、地域性・系統性金融リスクを回避する。大手不動産企業の経営危機に効果的に対処し、負債比率を改善し、無計画な拡大経営を防ぎ、不動産業の安定成長を促す。地方政府の債務リスクを防止・解消し、債務期限構造を改善し、利息負担を低減し、新規発行額を抑え、債務残高を削減する。

  (六)食糧生産を安定させ、農村振興を推進する。農業現代化と農村現代化を一体的に推進する。食糧の作付面積を確保し、油糧作物の生産に取り組み、新たに食糧5000万トン増産計画を実施する。農業資材の安定供給・価格安定の仕組みを整える。耕地の保護を強化し、農業水利施設や高基準農地などのインフラ整備を強化する。種子事業振興行動を踏み込んで実施する。アグリテックと農機の導入を強化する。食糧農家と食糧主産地への奨励的補助金の仕組みを整備する。包括的食料観を確立し、食料調達先の多元化をはかる。農村の地場産業を発展させ、農民の収入源を増やす。貧困脱却堅塁攻略の成果を定着させて拡大し、集団的な再貧困化を断固として防ぐ。農村整備行動を進める。国策の土地請負期限30年延長は必ずきめ細かな取組で徹底しなければならない。

  (七)発展パターンのグリーン化を推し進める。環境汚染対策を踏み込んで推進する。流域総合対策を強化し、都市・農村部の環境インフラ整備を強化し、指定地域生態系保全・復元重要プロジェクトを継続して実施する。クリーンで高効率なエネルギー利用と関連技術の研究開発を進め、新型エネルギー体系の整備を急ぎ、再生可能エネルギー比率を高める。グリーン発展促進に向けた政策と金融ツールを整備し、循環型経済を発展させ、資源の節約・集約利用を推し進め、重点分野の省エネ・低炭素・汚染低減を進め、「青い空、澄んだ水、きれいな土を守る戦い」に継続的にしっかりと取り組む。

  (八)基本的民生を保障し、社会諸事業を発展させる。住宅保障体系の整備を強化し、マイホームの購入または買い替えを支援し、新市民や若年層が抱える住宅難をしっかりと解消し、老朽住宅地の改修と老朽危険家屋の改築を加速する。質の高い教育体系の構築を急ぎ、義務教育の良質で均衡のとれた発展と都市・農村の一体化を推進し、ユニバーサル型就学前教育・特別支援教育を推進し、職業教育を大いに発展させ、高等教育のイノベーションをはかり、中・西部地区の高等教育機関の発展を支援し、スポーツと教育の融合を深化させる。医療・医薬品・医療保険・公衆衛生体制改革を深化させ、医療保険、医療、医薬品の協同発展と管理を促進する。良質な医療資源の拡充・移転と地域間の均衡のとれた配置を促進する。中国医学・薬学振興重要プロジェクトを実施する。メンタルヘルスを重視する。人口の高齢化への積極的対応という国家戦略を実施し、養老サービスを充実させ、出産支援政策体系を拡充する。女性・児童・高齢者・障害者の合法的な権利・利益を保障する。軍人とその家族、退役軍人とその他の優遇扶助対象者への恩給援護をしっかりと行う。文化事業と文化産業を繁栄・発展させる。社会統治の効果を高める。労働安全監督管理と防災・減災・災害救助活動を強化する。総体的国家安全保障観を全面的に貫徹し、より高い水準の「平安中国」を建設する。

  政府自体の建設をいっそう強化し、政府の機能転換を続け、機関再編をしっかりと行い、法治政府・革新政府・廉潔政府・サービス型政府の整備を着実に進め、地道な努力の精神を発揚し、調査・研究を重んじ、行政効率と信頼性を高める。

  代表のみなさん

  われわれは中華民族共同体意識の強化を主軸とし、民族区域自治制度を堅持し充実させ、各民族の共同の団結・奮闘と共同の繁栄・発展を促進する。党の宗教関連業務の基本方針を堅持し、わが国の宗教の中国化の方向を堅持し、宗教が社会主義社会に適応するよう積極的に導く。華僑関連業務を拡充・改善し、国内外の中華民族の人々が心を一つにして奮闘し、ともに栄光を築いていく強大な力を結集する。

  われわれは習近平強軍思想を深く貫徹し、新時代の軍事戦略方針を貫徹し、中国人民解放軍創立百周年の奮闘目標の達成を中心に据えて、闘争・戦備・建設を同時に推進し、党と人民に与えられた諸任務を完遂する。訓練・戦備を全面的に強化し、軍事戦略指導を刷新し、実戦化軍事訓練に力を入れ、各戦略方向・各領域における軍事闘争を統一的にしっかりと進める。軍事統治を全面的に強化し、国防・軍隊改革の成果を定着させて拡大し、重要任務における闘争・建設・戦備の統合を強化し、国防強化重要プロジェクトの実施を加速する。一体的な国家戦略体系をうち固めてその能力を向上させ、国防科学技術工業の能力を向上させる。全国民国防教育を深化させる。各級政府は国防・軍隊整備を大いに支援し、「擁軍優属・擁政愛民」関連業務をさらに展開し、軍隊と政府、軍隊と人民の団結の新たな一章をともに書き綴る。

  われわれは「一国二制度」、「香港住民による香港統治」、「澳門住民による澳門統治」、高度の自治という方針を全面的かつ正確に、揺るぐことなく貫徹し、法に基づく香港統治・澳門統治を堅持し、憲法と基本法で定められた特別行政区の憲制秩序を守り、「愛国者による香港統治」と「愛国者による澳門統治」の原則を徹底する。香港・澳門の経済発展と民生改善を支援し、香港・澳門の長期的な繁栄と安定を保つ。

  われわれは新時代の党の台湾問題解決の基本方策を貫徹し、一つの中国の原則と「92コンセンサス」を堅持し、「独立」反対・祖国統一促進を貫き、両岸関係の平和的発展と祖国の平和的統一への道を歩む。両岸同胞は血がつながっており、両岸の経済・文化の交流・協力を促進し、台湾同胞の福祉増進のための制度と政策を充実させ、両岸はともに中華文化を発揚し、心を一つにして復興という偉業を成し遂げる。

  われわれは揺るぐことなく独立自主の平和外交政策を遂行し、平和的発展の道を堅持し、あくまでも平和共存五原則を踏まえて各国との友好協力を発展させ、互恵ウィンウィンの開放戦略を断固実行し、終始世界平和の建設者、世界発展の貢献者、国際秩序の擁護者であり続ける。中国は、国際社会とともにグローバル発展イニシアティブとグローバル・セキュリティ・イニシアティブを実践し、全人類共通の価値を発揚し、手を携えて人類運命共同体の構築を推進し、世界の平和と地域の安定を守っていく考えである。

  代表のみなさん

  奮闘が輝きを生み、ひたむきな努力が未来を築く。われわれは習近平同志を核心とする党中央を中心にいっそう緊密に団結し、中国の特色ある社会主義の偉大な旗印を高く掲げ、習近平「新時代の中国の特色ある社会主義」思想を導きとし、第20回党大会の精神を全面的に貫徹し、練磨前進し、経済・社会の持続的かつ健全な発展を推進し、社会主義現代化国家を全面的に建設して中華民族の偉大な復興を全面的に推進するために、わが国を富強・民主・文明・調和の美しい社会主義現代化強国に築き上げるために、たゆまず奮闘していく。

  2023年3月5日

  第14期全国人民代表大会第1回会議にて

  国務院総理李克強

  代表のみなさん

  今期政府の任期がまもなく終わる。ここにわたくしは国務院を代表して、大会に活動報告を行い、審議を求めるとともに、全国政治協商会議委員からも意見を求めたいと思う。

  一、昨年および過去5年間の活動の回顧

  2022年は党と国家の歴史においてきわめて重要な1年であった。中国共産党第20回全国代表大会(第20回党大会)は成功裏に開催され、社会主義現代化国家を全面的に建設する壮大な青写真を描いた。波乱に満ちた国際環境と国内の改革・発展・安定の困難で重い任務を前にして、習近平同志を核心とする党中央は全国各民族人民を団結させ率いて困難に立ち向かい、新型コロナウイルスの感染被害の抑制、経済成長の維持、安全保障の確保という要請を全面的に実行し、マクロコントロールを強化したことで、経済の安定した推移、発展の質の着実な向上、社会の大局の安定を実現し、わが国の発展は容易には得られない新たな成果を収めた。

  昨年、わが国の経済発展は感染拡大など国内外の度重なる予期せぬ事態に見舞われた。党中央の力強い指導の下、われわれは感染症対策と経済・社会の発展を効率的に両立させ、ウイルスの変異と防疫状況に応じて感染症対策を適時に調整した。経済の新たな下押し圧力を前に、即座に対応して速やかに調節し、近年取り置いた政策ツールを十分に活用し、既定の政策措置を繰り上げて実施し、揺るぐことなく供給側構造改革を推進し、経済安定化につながる政策パッケージおよび後続措置をうち出して実施し、経済を安定させる取組を配置し、地方の政策実施に対する監督指導と支援を強化し、各地区が独自の景気対策をうち出すこと、経済大省が大黒柱の気概をもってしっかりと経済成長を支えることを支持し、経済・雇用・物価の安定を優先させ、景気の持ち直しを後押しした。昨年の国内総生産(GDP)が3%伸び、都市部新規就業者数が1206万人となり、年末時点での都市部調査失業率が5.5%に下がり、消費者物価が2%上昇した。財貿易額が7.7%増えた。財政赤字の対GDP比が2.8%に抑えられ、中央の予算が計画どおりに執行され、やや黒字となった。国際収支が均衡を保ち、人民元相場は世界主要通貨の中で相対的に堅調に推移した。食糧生産量が前年比370万トン増の6億8500万トンとなった。生態環境が持続的に改善された。困難に立ち向かう中で経済を安定させ、複雑で変化の多い環境において発展の年間主要目標・任務を基本的に達成し、わが国の経済は高い強靭性を見せた。

  企業の経営難の深刻化を受け、苦境脱却支援を強化した。感染症などの影響を受け、多くの企業と自営業者が深刻な経営難に陥った。昨年は、未控除仕入増値税還付額が2兆4000億元、租税公課の新規減免額が1兆元、納付猶予額が7500億元を超えた。地方の減税・料金引き下げ政策の実施を強力に支援するために、中央から地方への財政移転を大幅に増やした。金融機関に貸出を増やすよう指導し、資金調達コストを引き下げたことで、昨年の企業向け新規貸出平均金利がこれまでで最も低くなり、また新型コロナウイルスの影響を大きく受けた中小・零細企業、自営業者や飲食業、観光業、貨物運送業などの元利返済を一時的に猶予し、小企業・零細企業向け包摂融資の金利について一時的に引き下げた。改革の方法で市場の活力を引き出した。数多くの中小・零細企業と自営業者があまねく利益を受けた。

  有効需要の不足という際立った問題を受け、さまざまな措置を講じて投資の拡大、消費の促進、貿易の安定をはかった。昨年の最終消費支出が大打撃を受け、投資にも影響が及んだ。第14次5ヵ年計画の一部重要プロジェクトを繰り上げて実施し、地方政府特別債の発行・運用を加速し、法に基づいて地方政府特別債を限度額まで最大限に活用し、また重点プロジェクトの増資のために、2回に分けて政策性・開発性金融ツール7400億元を投入した。特別再貸出や利子補給などの政策を運用して重点分野の設備更新・改造を支援した。窓口一本化や地方誓約などの方法をとり、行政審査の効率を高めた。通年でのインフラ・製造業への投資がそれぞれ9.4%、9.1%伸びたことは、固定資産投資の5.1%増につながり、消費の縮小をある程度補った。消費の新業態・新モデルを発展させ、自動車取得税減免などの措置を設け自動車購入を促進し、新エネルギー車の販売台数は93.4%伸び、エコ・スマート家電とエコ建材を農村へ普及させ、社会消費財小売総額は基本的安定を保った。金融支援策をうち出し、マイホームの購入または買い替えを支援し、物件の確実な引き渡しによる民生の安定化を着実に推し進めた。輸出企業の原材料ひっ迫や人手不足、物流の目詰まりなどの解決をサポートし、港湾の集配効率を高め、外資企業の抱える問題に適切に対処したことで、財貿易は予想を上回り、外資実質利用額は堅調な伸びを見せた。

  雇用状況の悪化を受け、雇用維持・創出政策に力を入れた。昨年は都市部調査失業率が急激に高まった。財政、金融、投資などの政策でいっそう雇用維持を重視した。経営難の業種・企業の社会保険料納付を猶予し、雇用安定化のための雇用保険料還付率を大幅に引き上げ、雇用維持・創出補助金を増やした。有担保ローンや家賃減免などの起業支援策を徹底した。大学新卒者の就職支援に大いに取り組み、就業困難層向けの特別支援を行った。重点プロジェクトにおいて脱貧困層の雇用対策を講じた。脱貧困層の就労規模は3200万人を超え、安定した伸びを実現した。雇用状況の全般的安定を保った。

  世界的な高インフレーションの影響を受け、食糧とエネルギーを重点に安定供給・物価安定をはかった。昨年、世界のインフレ率が40余年ぶりの高水準に達したことは、国内のインフレ圧力を強めた。洪水や干ばつなど深刻な気象災害に効果的に対応し、農期を逸することなく食糧作物の作付けと収穫を行い、地方政府と早急に連携をとって農機を広域通行させて、農作業が滞ることのないようにし、食糧農家を対象に農業資材補助金を3回にわたって給付し、食糧の豊作と重要農産物の安定供給を保障した。石炭の主力エネルギー源としての役割を発揮させ、生産性の高い採炭設備を増やし、熱電併給企業への支援を強化し、エネルギーの安定供給を保障した。世界的な高インフレーションの中、わが国の物価が低い水準に保たれたことは容易なことではなかった。

  一部の人々の生活困窮の深刻化を受け、基本的民生への保障を強化した。生活保護など社会保障制度の受給要件を一時的に緩和し、より多くの生活困窮者を保障対象にした。雇用保険適用拡大策を延長し、計1000万を超える失業者に給付した。より多くの低所得層を対象に物価上昇支援給付金を給付し、約6700万人が利益を受けた。経済的困難を抱える大学卒業生に対し、貸与型政府奨学金の2022年度分の利子を免除し、元金の返済を猶予した。感染症や災害で生活苦に陥った人々への緊急救済を行い、社会的セーフティネットでしっかりと受け止めた。

  これと同時に、われわれは中央経済工作会議の配置を徹底し、第13期全国人民代表大会第5回会議で承認された「政府活動報告」の内容に基づき、経済・社会の諸般の取組を統一的に推進した。多大な努力の末、足下の消費需要、市場の流通、工業生産、企業の景況感などが明らかに改善し、景気が持ち直した。わが国の経済は、巨大な潜在力と発展の原動力を持っている。

  代表のみなさん

  この5年は、きわめて特殊で、きわめて特異なものであった。習近平同志を核心とする党中央の力強い指導の下、われわれは激動する世界情勢、新型コロナウイルスの感染拡大、中国経済の成長鈍化など幾多の試練に耐え抜き、計画どおりに貧困脱却堅塁攻略戦に勝利し、計画どおりに小康社会を全面的に完成させて一つ目の百周年の奮闘目標を達成し、二つ目の百周年の奮闘目標に向かって新たな征途を進みはじめた。各地区、各部門は習近平「新時代の中国の特色ある社会主義」思想を導きとして、「二つの確立」の決定的な意義をしっかりと把握し、「四つの意識」を強め、「四つの自信」を固め、「二つの擁護」を徹底し、第19回党大会と第19期中央委員会各回全体会議の精神を全面的に貫徹し、第20回党大会の精神を深く貫徹し、「安定を保ちつつ前進を求める」という活動全体の基調を堅持し、新たな発展理念を完全に、正確に、全面的に貫徹し、新たな発展の形を構築し、質の高い発展を促進し、発展と安全を統一的に考慮し、わが国の経済・社会発展は世界の注目を集める大きな成果を収めた。

  ――経済力が再び新たな大台に乗った。GDPが121兆元に増え、この5年間の年平均伸び率が5.2%で、この10年で年平均6.2%の伸び率で70兆元近く増加し、高い基準値での中高速成長を実現し、質の高い発展へ邁進した。歳入が20兆4000億元に増えた。食糧生産量が数年連続で6億5000万トン以上をキープした。工業付加価値額が40兆元を突破した。都市部新規就業者数が年平均で1270万人を超えた。外貨準備高が3兆ドル台を維持した。わが国の経済力は著しく強まった。

  ――貧困脱却堅塁攻略の任務が成功裏に達成された。8年間のたゆまぬ努力を経て、1億近くの農村貧困人口が貧困から抜け出し、全国832の貧困県が脱貧困基準を満たし、960万余りの貧困人口が移住・転居し、絶対的貧困の問題は歴史的解決に至った。

  ――科学技術イノベーションにおいて多大な成果を上げた。新型挙国体制をうち立て、国家実験室を設置し、全国の重点実験室の再編を段階的に推し進めた。一部の基幹核心技術の開発が新たな進展を見せ、有人宇宙飛行、月・火星探査、深海・地球深部探査、スーパーコンピューター、衛星測位、量子情報、原子力発電、大型旅客機製造、人工知能、バイオ医薬などの分野においてイノベーションの成果が次々と生み出された。社会全体の研究開発費の対GDP比が2.1%から2.5%強に上昇し、経済成長に対する科学技術進歩の寄与率が60%以上に達し、イノベーションが発展を支える力はますます強まった。

  ――経済構造がいっそう最適化した。ハイテク製造業、設備製造業の付加価値額がそれぞれ年平均で10.6%、7.9%伸び、デジタル経済が絶えず成長し、新産業・新業態・新モデルの付加価値額がGDPの17%以上を占めるまでになった。地域間調和発展戦略と地域重要戦略を踏み込んで実施した。常住人口ベースの都市化率が60.2%から65.2%に上昇し、農村振興戦略を全面的に実施した。新たな成長分野が急速に拡大した。

  ――インフラがさらに整備された。水害・旱害対策や導送水にかかわる多くの重要水利プロジェクトが着工した。高速鉄道の営業距離が2万5000キロから4万2000キロまで、高速道路の営業距離が13万6000キロから17万7000キロまで伸びた。125万キロの農村道路が新設・改良された。空港の受入能力を新たに4億人分増加させた。発電設備容量が40%以上伸びた。すべての地区級都市でギガビット級光ファイバーが整備され、すべての行政村でブロードバンドが普及した。

  ――改革開放が持続的に推進された。改革開放の全面的深化により新たな発展の形の構築を推し進めた。供給側構造改革を踏み込んで実施し、「行政簡素化と権限委譲、緩和と管理の結合、サービスの最適化」の改革が不断に深化し、ビジネス環境は明らかに改善された。「一帯一路」共同建設が着実に進んだ。地域的な包括的経済連携(RCEP)協定の発効・実施を推し進め、世界最大の自由貿易地域が形成された。財貿易額が年平均で8.6%伸びて数年連続で世界第1位をキープし、総額は40兆元を超え、対内投資額と対外投資額は世界上位を維持した。

  ――生態環境が明らかに改善された。GDP1卖位当たりのエネルギー消費量と二酸化炭素排出量がそれぞれ8.1%、14.1%低下した。地区級都市および地区級以上の都市の微小粒子状物質(PM)平均濃度が27.5%低下し、重度大2.5気汚染の日数が50%以上減尐し、優良な地表水の割合が67.9%から87.9%に上がった。第1期国立公園として5ヵ所を設立し、各級政府が指定したさまざまな自然保護区は9000ヵ所以上となった。「美しい中国」の建設において重要な一歩を踏み出した。

  ――人民の生活水準が不断に高まった。住民所得の伸びが経済成長率とほぼ一致し、全国住民1人当たり可処分所得は年平均で5.1%伸びた。消費者物価の年平均上昇率は2.1%であった。新規就労者の平均就学年数が13.5年から14年に上がった。基本年金の加入者数が1億4000万人増加し、10億5000万人に行き渡り、基本医療保険が着々と整備された。この数年間で4200余万戸規模のバラック地区の再開発が進み、1億人以上の元バラック住民がマンションに入居し、安全で安心な暮らしを送れるようになった。

  数年間にわたる入念な準備を行い、「シンプル・安全・素晴らしい」北京冬季オリンピック・パラリンピックを成功させて、ウインタースポーツの普及、オリンピック競技の発展、世界各国の人々との連帯を強め友情を深めるために、大きく貢献した。

  新型コロナウイルス感染症発生から3年余り、習近平同志を核心とする党中央は終始人民至上・生命至上を堅持し、医療資源と物資の保障を強化し、感染者の治療に全力を尽くし、人民の命と健康を効果的に守り、状況に応じて対策を適時に調整し、全国人民が粘り強く戦い、感染症対策の決定的な大勝利を収めた。困難を極めた感染症対策の取組の中で、各地区・各部門・各機関は大量の業務を行い、各界は難局をともに乗り越え、広範の医療従事者は困難をいとわず、とりわけ億万の人民は幾多の困難を乗り越え、犠牲と奉仕を貫き、大変な苦労をし、皆で新型コロナウイルス感染症という大きな試練に立ち向かった。

  いまだ終息の見えない感染症を前に、感染症対策と経済・社会発展の統一的推進において成果を上げ続けている。

  代表のみなさん

  この5年、われわれは、習近平同志を核心とする党中央の政策決定と活動計画を深く貫徹し、主に以下のことに取り組んだ。

  (一)マクロコントロールを刷新し、経済の動きを合理的な範囲内に保った。保護貿易主義の台頭や感染拡大など立て続けに襲いかかる厳しい試練を前に、マクロコントロールを刷新し、過度な投資依存をせず、財政や金融などの政策を一体的に実施し、的確性と有効性を高め、市場の変化に向き合い、市場主体の苦境脱却を重点的に支援し、雇用維持をはかり民生を保障した。年間主要所期目標を一つの有機体としてとらえ、区間コントロール、ターゲット・コントロール、臨機応変なコントロール、的確なコントロールを強化し、早急に景気対策を強化しながらも、財政健全性を損なう「ばらまき」は行わず、持続的に「六つの安定」と「六つの保障」にしっかりと取り組み、雇用、基本的民生、市場主体、食糧・エネルギー安全保障、産業チェーン・サプライチェーンの安定、末端の行政運営への保障を強化し、改革開放の方法で経済が困難の中でも安定的に成長するよう促した。

  積極的な財政政策を堅持した。財政赤字を合理的に設定し、過去5年間の財政赤字の対GDP比を3%以内に抑え、政府債務残高の対GDP比を50%前後に抑えた。支出構造を不断に改善し、教育・科学技術、生態環境保護、基本的民生などの重点分野をしっかりと保障した。制度的取り決めと一時的措置を組み合わせて大規模な減税・料金引き下げを実施し、パンデミック発生後はさらにその実施規模を拡大し、景気対策の肝心な一手となった。営業税から増値税への切り替えを完了し、増値税率のうち、税収が最も多く適用業種の多い17%税率を13%に引き下げ、一時的に小規模納税人の増値税基礎控除額を月間売上高3万元から15万元に引き上げると同時に、小規模薄利企業の所得税実効税率を10%から2.5%に引き下げた。減税・料金引き下げ政策がすべての市場主体に公正かつ効率的に行き渡り、この5年で累計減税額が5兆4000億元、料金引き下げ額が2兆8000億元に達し、企業の苦境脱却と事業存続を支援し、同時に「放水養魚(税源の涵養)」を行い、新設の徴税対象となる企業および自営業者数などが年平均で1100万を超え、各年度の中央歳入予算が計画どおりに執行された。未控除仕入増値税還付分も含めると、昨年の歳入は10年前の約2倍となった。地方への財政移転を拡大し、中央一般公共予算支出に占める地方への移転支出の割合を70%前後に引き上げ、中央財政資金の市・県への直接交付の仕組みを確立して継続的に実施した。各級政府は支出切り詰めを堅持し、消費的支出を厳しく抑え、中央部門は率先して消費的経費を削減し、遊休資金・資産を活性化し、調達した資金をさまざまな方法で企業と人々の暮らしを潤すことに充て、歳出の7割以上が民生分野であった。

  穏健な金融政策を堅持した。情勢の変化に応じて政策内容を柔軟に調整し、流動性の合理的なゆとりを保ち、預金準備率引き下げや再貸出などの政策ツールを活用し、実体経済への支援効果を高め、中小・零細企業の抱える「資金繰り難、資金調達コスト高」などの問題を緩和した。製造業向け貸出残高が16兆3000億元から27兆4000億元に増えた。小企業・零細企業向け包摂融資残高が年平均24%の伸び率で8兆2000億元から23兆8000億元に増え、貸出平均金利が5年前と比べて1.5ポイント下がった。中小企業の下請代金支払遅延への対策を強化した。人民元為替相場は弾力性が増し、合理的な均衡水準付近で安定的に推移した。これまでの国有商業銀行や農村信用組合などの金融改革による債務1兆4486億元を完済した。市場化・法治化の方法を用いて大手企業グループ数社の経営危機に的確に対処し、経営リスクの高い中小金融機関のリスクを無事に解消し、大手金融機関が健全に発展し、金融システムが安定し、系統性リスクを生じさせないという最低ラインを守り切った。

  雇用優先という政策の方向性を固めた。雇用安定を経済が合理的な範囲内で推移することをはかる重要指標とした。市場化・社会化就業の促進に力を入れ、企業の雇用維持・創出への支援を強化した。年金納付額の職場負担割合を20%から16%に引き下げるとともに、全国社会保障基金を充実させ、その残高を1兆8000億元から2兆5000億元以上に増やした。雇用安定化のための雇用保険料還付、感染症対策事業継続一時金などの政策をうち出して実施した。大衆による起業・革新を持続的に推し進め、8年連続で「全国大衆による起業・革新週間」を実施し、参加者が累計5億2000万人を超え、起業による雇用の創出を奨励し、労働者の権利と利益の保護を強化し、新たな就業形態とフレキシブル就業が就業・収入増の重要なルートとなった。大学新卒者や退役軍人、農民工などの就職支援をしっかりと行った。雇用保険基金などの資金で職業訓練を支援した。高等職業学校学生募集拡大・職業技能向上3ヵ年行動を実施し、在学生が413万人増え、8300万人以上が職業訓練を受けた。雇用は民生の基本であり、富の源泉である。14億余りの人口を抱える大国で雇用の安定が保たれたことは、容易には得られない成果であり、大きな創造力を秘めている。

  物価の全般的安定を保った。衝撃に対応する中で、大規模な国債発行を継続せず、通貨の超過供給を行わなかったことは、物価安定の最大要因となった。農業生産に大いに取り組み、生産・販売連携と備蓄の調節を強化し、食糧やブタ、野菜などの安定供給を確保し、石炭・電力の需給ひっ迫を早急に解消し、家庭と企業のエネルギー需要を満たし、交通・物流の円滑な流れを守った。市場への監督管理を強化し、適正価格を維持した。この10年、わが国の消費者物価上昇率が2%前後という比較的低い水準に保たれたことは、簡卖そうに見えて、実に難しいことであった。これは、市場経済の秩序を守り、マクロ政策実施のための余地を残しただけでなく、基本的民生のより確実な保障につながった。

  (二)貧困脱却堅塁攻略戦に計画どおりに勝利し、貧困脱却堅塁攻略の成果を定着させ拡大した。小康社会の全面的完成において最も困難で最も重い任務は農村、とくに貧困地区での小康社会の実現であった。的確な貧困救済を堅持し、「三区三州(三区:①チベット自治区、②青海・四川・雲单・甘粙4省のチベット族住居地区、③新疆ウイグル自治区のカシュガル地区・ホータン地区・クズルスキルギス自治州・アクス地区。三州:四川省の涼山州、雲单省の怒江州、甘粙省の臨夏州)」などの極度貧困地区を対象に特別政策をうち出し、貧困脱却支援目的の資金を優先的に交付し、貧困脱却が困難な県と村で強力な監督と活動体制を敷いた。産業、雇用、生態、教育、健康、社会保障などの支援策を踏み込んで実施し、移住・転居後の継続的サポートを強化し、「両不愁三保障」に係る問題を重点的に解決したことで、脱貧困後の衣食・教育・医療・住宅が保障され、安全な飲用水も確保された。貧困地域の農村住民の収入が大幅に増え、生活環境と生産基盤が著しく改善された。

  貧困脱却堅塁攻略の成果の定着・拡大から農村振興への円滑な移行を推し進めた。移行期間中にも主な支援策を継続し、「四つのゼロにしない(貧困がゼロになっても責任・政策・支援・監督管理はゼロにしない)」という要求を厳格に守り、再貧困化防止のための動的モニタリング・サポートの仕組みを確立して充実させ、感染症や災害などの被害に力強く対応し、集団的な再貧困化を防いだ。160の国家農村振興重点支援県を指定して重点的に支援し、移住・転居による脱貧困世帯集住地域など重点地域への支援を強化し、東部・西部の連携や対口支援、地域指定型サポートなどの仕組みを堅持して充実させ、優秀な人材を医療支援団、教育支援団、科学技術特派員として派遣し、脱貧困地区の加速度的発展と人々の安定した収入増を促進した。

  (三)重点分野とカギとなる部分にフォーカスして改革を深化させ、市場活力と民間の創造力をいっそう引き出した。社会主義市場経済改革の方向を堅持し、政府と市場の関係を適切に処理し、資源配分において市場に決定的な役割を果たさせ、政府の役割をよりよく発揮し、効果的な市場と機能的な政府のよりよい連携を促した。

  政府の機能転換を持続的に推進した。国務院と地方政府の機構改革を完了した。全国統一大市場の整備を加速し、ハイスタンダードな市場体系を整備し、市場化・法治化・国際化したビジネス環境を整備した。「大道は至りて簡し」というように、行政手続は簡素化するほどより円滑に実施することができる。政府自身の利益に係る改革を持続的に推進した。行政簡素化と権限委譲をいっそう進め、市場参入規制を緩和し、市場参入ネガティブリスト制度を全面的に実施し、最新版リストでは規制項目数が64%減り、行政許認可事項をすべてリストアップした。この数年で、廃止または委譲された許認可事項は1000を超え、国の許認可が必要な投資分野は9割以上減り、工業製品生産許可証は60種類から10種類に減り、建設工事プロジェクトの全工程審査期間が120業務日以内に短縮した。商事制度の改革を行い、「『証』と『照』の分離(経営許可証取得[審査・認可]が先で営業執照取得[商業登記]が後という強制的順序をなくし、後者さえ済めば開業できるようにすること)」改革を進め、開業届の審査期間を1ヵ月以上から平均4業務日以内に短縮し、中小・零細企業向け簡易登録抹消制度を実施した。「緩和と管理の結合」を堅持し、事中・事後の監督管理を強化し、監督管理責任を徹底し、監督管理の不行き届きと管理なき緩和を防ぎ、食品・医薬品など重点分野の品質と安全性への監督管理を強化し、「双無作為、一公開(検査要員と検査対象を無作為抽出し、検査結果と処分について速やかに公開する)」式などの横展開で監督管理の公正を確保し、行政裁量権の行使を規範化した。私的独占・不正競争の取締りを強化し、公正競争審査制度を全面的に実施し、独占禁止法執行体制を改革した。法に基づいて資本が健全に発展するよう規範化し導き、法に基づいて資本の無秩序な拡張を断固として規制した。行政サービスを不断に改善し、行政サービスのワンストップ化を推し進め、申請書類を減らし、デジタル政府の建設を加速した結果、90%以上の行政サービスがオンライン化し、戸籍証明書や社会保険の切り替えなど200以上の需要の高い行政サービスがどこでも受けられるようになった。

  省境高速道路料金所をすべて撤廃した。ビジネス環境改善条例や市場主体登記管理条例、自営業者発展促進条例、中小企業への代金支払い保障条例などの条例を制定し実施した。改革は、人々のビジネス活動と企業経営をいっそう便利にして可能性をもたらし、昨年末時点で、5200万社超の企業と1億1000万人超の自営業者数を含む1億6000万を超える市場主体の規模が10年前の3倍となり、発展の内生的原動力が著しく強まった。

  多種類の所有制経済の共同発展を促進した。社会主義の基本的経済制度を堅持し充実させ、「二つの揺るぐことなく(①揺るぐことなく公有制経済をうち固めて発展させ、②揺るぐことなく非公有制経済の発展を奨励・支援・リードする)」を堅持した。国有企業改革3ヵ年行動の任務を完遂し、現代企業制度を整え、国有企業の主力事業に特化した事業再編と経営改善を推し進めた。民間企業の健全な発展を促進し、さまざまな見えない障壁を取り除き、政策の下の平等を徹底し、民間投資意欲を高めた。財産権保護制度を充実させ、企業家の合法的な権利・利益を保護し、企業家精神を発揚した。

  財政・金融体制改革を推し進めた。予算管理体制改革を深化させ、予算公開をいっそう進め、中央と地方の財政権限と支出責任の区分改革を推進し、地方政府債管理体系を整備し、総合課税と分離課税を組み合わせた個人所得税制度を確立し、租税徴収管理の改革をいっそう深化させた。金融監督管理体制の改革を推し進め、中小銀行の増資と改革によるリスク解消を統一的に推進し、株式発行登録制改革を推進し、資本市場の基礎制度を整え、金融安定のための法治建設を強化した。

  (四)革新駆動型発展戦略を踏み込んで実施し、産業構造の最適化・高度化を推進した。供給側構造改革を深化させ、国家と地方のイノベーション体系を充実させ、科学技術の自立自強を推進し、イノベーションにしっかりと依拠して実体経済の高度化をはかり、発展の新たな原動力を絶えず生み出し大きく育て、外部からの抑圧・阻害に効果的に対応した。

  科学技術イノベーションの先導的役割を強化した。国家戦略的科学技術力を強化し、一連の科学技術イノベーション重要プロジェクトを実施し、基幹核心技術開発を強化した。高等教育機関、科学技術研究機関の機能の発揮をはかり、新型研究開発機関の発展をサポートした。国際科学技術イノベーションセンターと地域科学技術イノベーションセンターの整備を推進し、統合型国家科学センターを配置して整備した。基礎研究と応用基礎研究を支援し、全国の基礎研究費が5年間で倍増した。科学研究のプロジェクト管理・経費管理制度を改革し、科学研究機関と研究者により大きな自主権を与え、努めて広範な研究者を煩雑な事務作業から解放した。知的財産権の保護を強化し、知的創造意欲を引き出した。科学技術関連の国際交流・協力を促進した。市場化メカニズムによって企業のイノベーションを奨励し、企業の研究開発費加算控除比率を不断に引き上げ、製造業企業と研究開発型中小企業の研究開発費加算控除比率をそれぞれ50%、75%から100%に引き上げ、さらにその他の加算控除比率75%の企業を対象に一時的に100%に引き上げ、企業の基礎研究、設備取得に政策的支援を与え、さまざまなイノベーション促進のための優遇税制の年間実施規模が1兆元を超えた。イノベーション促進金融政策ツールを創設し、ベンチャー投資などの発展を誘導した。企業の研究開発費が2桁の伸び率を保ち、数多くのイノベーション企業が頭角を現した。

  産業のミドル・ハイエンドへの邁進を後押しした。製造業を実体経済発展の重点とし、工業経済の安定成長を促し、製造業の割合の基本的安定を保った。環境・品質・安全性などの法規・基準を厳格に執行し、生産性の低い設備の廃棄を推進した。重点産業サプライチェーン強靭化行動を展開した。一連の産業基盤再構築プロジェクトをスタートさせた。企業の早急な設備更新・技術改良を奨励するために、固定資産加速償却という優遇税制を製造業全体に適用させた。ハイエンド設備やバイオ医薬品、光電子工学、新エネルギー車、太陽光発電、風力発電などの新興産業の発展の加速を促した。デジタル経済と実体経済との高度な融合を促した。インターネットの通信速度の引き上げと料金の引き下げを継続して推し進め、「インターネット+」を発展させた。移動系通信の契約数が14億5000万件に増えた。インダストリアル・インターネットの発展をサポートし、製造業のデジタル化・スマート化を強力に推進した。「専・精・特・新」中小企業が7万社以上に達した。プラットフォームエコノミーの健全で持続的な成長を促進し、雇用創出、起業促進、消費市場の開拓、生産方式の刷新などをもたらした。研究開発・設計、現代物流、検査・測定・認証などの生産者向けサービス業を発展させた。全面的な品質管理と品質インフラ(NQI)の整備を強化した。中国製造の品質と競争力が絶えず高まった。

  (五)国内の有効需要を拡大し、地域間調和発展と新型都市化を推進した。

  新たな発展の形の構築を中心に据え、超大規模市場のもつ優位性を拠り所とし、内需拡大戦略を堅持し、より多くの経済成長分野を見出した。

  消費と有効投資の拡大に力を入れた。パンデミックの発生前から、消費はすでにわが国の経済成長を牽引する主な原動力となっていた。需要が伸び悩み、一時は縮小傾向にあったが、消費の早期回復を促した。さまざまな方途で住民の所得増を促進し、中低所得層の収入を引き上げた。自動車や家電製品などの耐久財消費をサポートし、自動車保有台数が46.7%増となり、3億台を突破した。オンライン消費とオフライン消費の高度な融合を推進し、オンライン小売額の社会消費財小売総額に占める割合が15.8%から27.2%に拡大した。都市部の近隣商業施設を充実させ、農村部の配送ネットワークを整備した。観光業の発展を支援した。不備補完、構造調整、持続力強化をはかり有効投資を拡大した。財政投融資の体制と仕組みを刷新し、予算内投資の呼び水効果による民間投資は何倍にも増え、地方政府特別債の限度額を引き上げ、交通、水利、エネルギー、情報などのインフラ整備と民生プロジェクトの実行を重点的に支援し、民間資本の整備・運営への参加を誘導し、民間資本の活力を活用した。

  地域間発展の均衡性と調和性を増強した。西部大開発、東北の全面的振興、中部地区の興隆、東部の先行発展を統一的に推進し、中・西部地区の経済成長率が全般的に東部地区を上回った。旧革命根拠地・民族地区・辺境地区への支援を強化し、関連地域への財政移転が5年前と比べて66.8%増えた。京津冀(北京市・天津市・河北省)協同発展、長江経済ベルト発展、長江デルタ一体化発展を推し進め、黄河流域の生態系保全と質の高い発展を促進した。ハイスタンダードでハイクオリティな雄安新区を建設した。海洋経済を推進した。後進地区の発展を支援し、資源依存型地域の産業構造再編を促し、余力のある地域のさらなる牽引力発揮を奨励し、より多くの新興都市、新興地域の形成を推し進めた。

  人間を核心とする新型都市化を持続的に推進した。わが国は依然として都市化の途上にあり、毎年1千万人規模の農村人口が都市部に移住している。都市、とくに県城(県政府所在地)の都市機能を増進させ、総合受入能力を高めた。都市部への戸籍転入規制を類別に緩和または廃止し、この10年で1億4000万人の農村人口が都市部に転籍した。都市群と都市圏の形成を計画的に推進し、大中小都市の調和発展を推し進めた。成都・重慶二極経済圏の建設を進めた。「住宅は住むためのものであり、投機のためのものではない」という見地を堅持し、不動産の長期的かつ効果的な仕組みを確立・実施し、保障タイプ住宅の供給を拡大し、賃貸市場における長期賃貸契約の普及を後押しし、土地価格、住宅価格、期待を安定させ、都市別の施策により不動産市場の健全な発展を促進した。都市部のインフラ整備を強化し、軌道系交通の営業距離が4500余キロから1万キロ近くに、排水管網が63万キロから89万キロに伸びた。16万7000ヵ所の都市部老朽住宅地の改修を行い、2900余万世帯がその利益を受けた。

  (六)国家食糧安全保障を確保し、農村振興戦略に大いに取り組んだ。「強農・恵農」政策を充実させ、農業生産にたゆまずしっかりと取り組み、農業・農村の現代化を加速した。

  農業の総合生産能力を高めた。食糧作付面積を確保・拡大し、大豆などの油糧作物の作付面積を拡大し、農業生産の構造・配置を最適化し、卖位面積当たりの収穫量と品質を向上させた。食糧生産支援策を充実させ、食糧農家向け補助金の給付を継続し、籾米・小麦の最低買付価格を合理的に設定し、食糧主要生産県への奨励金を増やし、公的農業保険を充実させた。耕地の保護を強化し、黒土地帯保全事業を実施し、水利施設の保全と整備を行い、3040万ヘクタールの高基準農地を新規造成した。国家食糧安全保障産業ベルトの形成を推進した。種子や農業機械などの研究開発・普及を加速し、農作物耕耘・作付け・収穫の総合機械化率が67%から73%に上がった。食糧安全保障について党委員会・政府がともに責任を負う方針を全面的に貫徹し、食糧など重要農産物の安定生産と安定供給を強化して、終始怠ることなく14億余りの中国人の食糧を自らの手でしっかりと賄った。

  農村の改革と発展を着実に推し進めた。農村基本経営制度を定着・充実させ、請負地利用権の設定・登録・証明書交付と農村集団財産権制度改革の中間目標を達成し、多様な形態の適正規模経営を着実に推し進め、家族農業と農民合作社の発展にしっかりと取り組み、農業支援サービスの発展を加速した。農村整備事業を始動させ、農村の居住環境を持続的に改善し、水道、電気、道路、ガス、通信、郵便などのインフラ整備を強化し、条件を満たすすべての郷鎮・行政村で舗装道路と路線バスの開通を実現し、農村の上水道普及率が80%から87%に上がり、この数年で農村の老朽危険家屋を累計2400万戸以上改築した。

  供銷合作社改革、集団林権改革、農墾改革などを深化させた。地域資源を活用した地場産業の形成を進め、農民の兼業・起業による収入増を促した。農民工賃金の期日どおりの全額受給を保障するために、農民工賃金遅配問題の解決に持続的に取り組み、農民工賃金支払遅延防止条例を公布・実施し、悪質な遅配を厳しく罰した。

  (七)対外開放を揺るぐことなく拡大し、互恵ウィンウィンを旨とする国際貿易経済協力を深化させた。外部環境の変化に直面して、より積極的かつ能動的な開放戦略を実施し、ハイレベルの開放を通じて改革と発展をより力強く促進した。

  輸出入の量的安定と質的向上をはかった。輸出割戻し税や信用保険、輸出金融などの政策的支援を強化し、企業の輸出割戻し税の手続期間を6業務日以内に短縮した。外貨両替関連業務を改善した。貿易の新業態を発展させ、152の越境Eコマース総合試験区を新設し、多くの海外倉庫の設置を支援した。中国国際輸入博覧会や中国輸出入商品交易会(広州交易会)、中国国際サービス貿易交易会、中国国際消費財博覧会など実り多い大型展示会を開催した。通関の利便化を推進したことで、輸入と輸出の通関手続所要時間がそれぞれ67%、92%短縮し、通関コンプライアンスコストが明らかに下がった。平均関税率が9.8%から7.4%に下がった。サービス貿易革新発展の試行を全面的に深化させ、サービス貿易ネガティブリストをうち出した。貿易の安定成長は経済成長を力強く支えた。

  外資を積極的かつ効果的に活用した。外商投資法実施条例をうち出し、外資誘致に向けたビジネス環境の整備を持続的に進めた。外資参入規制を持続的に緩和し、全国および自由貿易試験区の外資参入ネガティブリストの項目数がそれぞれ51%、72%減り、製造業への参入規制がほぼ撤廃され、金融業などサービス業の段階的な開放が進んだ。21の自由貿易試験区を設立し、海单自由貿易港の整備を着実に推進した。各地区は外資誘致に向けた行政サービスを刷新し、外国企業誘致と着地までのフォローアップにいっそう力を入れた。一連の大型外資プロジェクトが着地し、わが国は国際資本の魅力的な投資先であり続けた。

  質の高い「一帯一路」共同建設を推し進めた。共同協議・共同建設・共同享受を堅持し、市場主導の原則と国際慣習法を守り、一連の越境インフラ整備プロジェクトと生産能力をめぐる国際協力プロジェクトを実施したことで、沿線諸国との財貿易額が年平均で13.4%伸び、各分野の交流・協力は絶えず深化した。西部陸海新ルートの整備を推進した。対外投資の健全で秩序ある発展を導き、対外投資をめぐるリスク対策を強化した。新たに6つの自由貿易協定(FTA)を締結または改定し、協定相手国との財貿易額が全体の26%から35%前後に拡大した。多角的貿易体制を断固として守り、保護貿易主義に反対し、貿易摩擦に穏当に対応し、貿易と投資の自由化・円滑化を促進した。

  (八)生態環境保護を強化し、グリーン・低炭素化を推し進めた。緑の山河は金山・銀山にほかならないという理念を堅持し、生態文明制度体系を整備し、経済成長と環境保全を両立させ、サステナビリティを不断に高めた。

  汚染対策と生態系保全を強化した。的確で科学的かつ法に基づく汚染対策を堅持し、汚染対策の重点事業を踏み込んで推進した。複数の汚染物質の統合的対策と汚染対策の広域連携を重視し、地区級都市および地区級以上の都市の大気質優良日の割合が4ポイント増の86.5%となった。地区級都市および地区級以上の都市の「黒臭水」はほとんどなくなり、重要河川・湖沼と近海の汚染対策が進んだ。土壌汚染リスク防止と浄化にいっそう力を入れ、固形廃棄物と新汚染物質の対策を強化した。耕地・恒久基本農地レッドライン、生態系保全レッドライン、市街化区域を全面的に画定した。山・川・林・田・湖・原・砂の一体化した保護と系統的な対策を堅持し、一連の重要生態系保全プロジェクトを実施し、河長制・湖長制・林長制を全面的に普及させた。長江の生態系保全の流域連携を推進し、長江流域の重点水域での10年間の禁漁をさらに実施した。生物多様性の保全を強化した。生態保護補償制度を整えた。森林率が24%に達し、草原植被率と湿地保護率がそれぞれ50%を超え、土壌水食、砂漠化、砂化した土地面積がそれぞれ10万6000平方キロ、3万8000平方キロ、3万3000平方キロ純減した。人々はよりいっそう自然豊かな暮らしが送れるようになった。

  省エネ・低炭素化を着実に推し進めた。エネルギーの安全で安定した供給とグリーン・低炭素化を総合的に考慮し、二酸化炭素排出量のピークアウトとカーボンニュートラルを科学的に計画的に推進した。エネルギー消費構造を最適化し、超低排出の石炭火力発電ユニットは1050ギガワット以上となり、再生可能エネルギー発電設備容量は650ギガワットから1200ギガワット以上に増加し、クリーンエネルギー消費の割合が20.8%から25%以上に拡大した。資源節約の取組を全面的に強化し、グリーン産業と循環型経済を発展させ、省エネで環境に配慮した技術と製品の研究開発と応用を促進した。生態系の二酸化炭素吸収能力を高めた。環境金融を強化した。エネルギー消費基準を見直した。気候変動に関する国際協力に積極的に参加し、グローバル気候ガバナンスの推進に中国の貢献をした。

  (九)民生を確実に保障・改善し、社会諸事業の発展を加速した。人民を中心とする発展思想を実践し、民生への投入を持続的に増やし、「基本的生活の保障、最低ラインの厳守、公平の促進」に注力し、公共サービスを向上させ、基本公共サービスの均等化を推し進め、発展の中で民生福祉を不断に増進した。

  教育の公平と質的向上を促進した。百年の大計は教育を根本とする。公的教育費の対GDP比が毎年4%以上を保ち、学生1人当たりの公的教育費が大幅に増えた。農村義務教育改善の取組に持続的に力を入れ、都市部の「すし詰め学級」をおおむね解消し、都市部の出稼ぎ世帯の就学問題の解決を促し、義務教育修了率を93.8%から95.5%に引き上げた。義務教育を国が統一的に実施することを堅持し、民間教育の発展を指導し規範化した。義務教育段階の学業の負担を軽減した。青尐年の健康増進をはかった。年間3700万人余りの小中学生を対象に栄養改善計画を持続的に実施した。教員、とくに農村教員の処遇を保障した。さまざまな方途で幼児教育・保育の受け皿を拡大した。後期中等教育の粗就学率が90%以上に高まった。職業教育の適応性が高まり、職業学校の教育環境が持続的に改善された。大学入試総合改革を積極的かつ穏当に推し進めたことで、高等教育の粗就学率が45.7%から59.6%に上がり、中・西部地区出身者および農村出身者を対象とする入試枠が年々拡大した。経済的困難を抱える大学生を対象に貸与型政府奨学金の限度額を大幅に引き上げた。「強基計画」と基礎学科卓越人材育成計画を踏み込んで実施し、288の基礎学科優秀学生育成拠点を整備し、世界一流大学・学科づくりを継続的に推進し、発展の人材基盤を強化し続けた。

  医療衛生サービス能力を向上させた。「健康中国」行動にいっそう取り組み、その普及に努め、医療・医薬品・医療保険・公衆衛生体制改革を深化させ、基本医療衛生制度を公共財として全国民に提供し、医療のアクセシビリティ向上と患者の自己負担軽減をいっそうはかった。基本医療保険と重大疾患保険を持続的に充実させ、都市・農村住民基本医療保険の1人当たりの公費負担額を450元から610元に引き上げた。より多くの需要の高い医薬品を医療保険の適用対象とした。指定医療機関での入院と外来についてすべての地域医療保険の即時適用を実現し、のべ5700余万人が利用した。医薬品と医療材料の数量ベース調達を実施したことで、医療費が4000億元以上軽減された。13の国家医学センターを設置し、76の国家級地域医療センターを指定して整備を進めた。公立病院総合改革を全面的に展開し、県域の医療衛生サービス能力を持続的に向上させ、医療の役割分担と連携を推進した。高齢者などのための医療サービスを向上させた。中国医学・薬学の伝承・イノベーションとさらなる普及を促進した。基本公衆衛生サービス費用の1人当たりの公費負担額を50元から84元に引き上げた。予防することに重きをおいて、重度慢性疾患管理を強化した。疾病予防管理体系を改革して充実させ、国家疾病予防管理局を設立し、重大感染症の予防・管理・救命・治療体系と応急物資保障体系を整備し、人々の健康を全力で守った。

  社会保障とサービスを強化した。基本年金基金の中央調整制度を確立し、基本年金受給額を毎年引き上げ、都市・農村住民の基礎年金最低受給額を引き上げ、都市・農村の生活保護、恩給援護、失業・労災保障などの給付基準を段階的に引き上げた。人口高齢化に積極的に対応し、高齢者事業と養老産業の発展を推進した。コミュニティと在宅介護サービスを発展させ、関連施設とバリアフリー環境の整備を強化し、税金・公共料金、家賃、水道光熱費などの面で優遇措置をとった。医療と介護の一体化を推進し、長期介護保険制度の試行を着々と推し進めた。「三人っ子」出産政策および包括的支援措置を実施した。退役軍人管理・保障制度を整え、その保障内容を充実させた。女性と子どもの権利・利益の保障を強化した。未成年者保護制度を整えた。障碍者の保障と思いやりサポート体系を充実させた。社会救済体系を整え、低所得層への動的モニタリングを強化し、緊急かつ一時的に生計の維持が困難となった人々を速やかにサポートし、年平均で1100万人が緊急救済を受け、生活困窮層を対象とする社会的セーフティネットをしっかりと張りめぐらせた。

  人々の精神文化生活を豊かにした。社会主義核心的価値観を浸透させて実践を促した。大衆的文化活動の創出を深化させた。報道・出版や放送・映像、文学・芸術、哲学・社会科学、公文書管理などの事業を発展させ、シンクタンクを強化した。メディア・ミックスを着実に推進した。海外発信力を高めた。インターネットコンテンツの製作を強化・革新した。中華の優れた伝統文化を継承し、文化財と文化遺産の保護・伝承を強化した。文化利民プロジェクトを実施し、公共図書館・博物館・美術館・文化施設が無料で開放された。全国民読書キャンペーンを踏み込んで推し進めた。文化産業の発展を後押しした。国の科学普及能力を強化した。中国のスポーツ選手たちは健闘して優れた成績を収め、全国民健康増進を広く展開した。

  (十)政府の法に基づく職責履行と社会統治の刷新を推進し、社会の大局の安定を保った。法治政府建設を強化し、経済・社会活動において法治主義をいっそう徹底した。法に基づく行政と大道を公と為すことを堅持し、厳格で規範化された公正かつ理性的な法執行を行った。政府の権力は人民から与えられたものであり、権力を決して好き勝手には用いず、必ず監督のもとに用いる。法律・法規と規則・制度の整備を推し進め、全国人民代表大会常務委員会に50本の法案を提出して審議を求め、180本の行政法規を制定または改正した。法に基づいて現地の人民代表大会とその常務委員会の監督を受け、自覚的に人民政治協商会議の民主的監督を受け、すすんで世論の監督を受けた。人民代表大会代表の提言と政治協商会議委員の提案に真摯に対応した。会計監査と統計監査を強化した。情報公開を進めた。国務院大監察を行った。労働組合や共産主義青年団、婦女連合会などの社会団体・組織のよりよい役割発揮を後押しした。

  社会統治を強化・革新した。市域社会統治現代化を推し進め、末端統治を改善し、コミュニティサービスを最適化した。民間団体、赤十字運動、ソーシャルワーク、ボランティア活動、公益・慈善活動などの健全な発展をサポートした。懸案の投書・陳情への対応に力を入れた。社会信用体系の整備を推し進めた。公共法律サービス体系を充実させた。食品、医薬品、とくにワクチンへの監督管理を厳格に行った。労働安全特別対策を行った。緊急時対応体制を改革・強化し、防災・減災・災害救助能力を高め、水害・干害、森林・草原火災、地質災害、地震などの対策と気象情報サービスをしっかりと行った。国家安全保障体系の構築と能力の向上を踏み込んで推進した。サイバーセキュリティとデータセキュリティ、個人情報保護を強化した。治安総合対策を持続的に強化し、各種の違法・犯罪活動を厳しく取り締まり、反社会的勢力特別対策を展開し、法に基づいて反社会的勢力とその後ろ盾を厳しく罰し、「平安中国」建設と「法治中国」建設は新たな進展を見せた。

  代表のみなさん

  この5年、各級政府は党中央の全面的な厳しい党内統治についての戦略的配置を真剣に貫徹・実施し、「初心を忘れず、使命を胸に刻もう」というテーマの教育と党史の学習・教育を着実に進め、偉大な建党精神を発揚し、中央の「八項目規定」の精神を厳格に実践し、「四つの悪風」を粘り強く正し、形式主義と官僚主義を重点的に正し、「三公経費」を大幅に削減した。規定違反の庁舎新築・改築や脱税などの行為を厳しく罰した。廉潔政府の建設を強化した。政府活動に携わる者は自覚的に法律による監督、監察による監督、人民による監督を受けた。

  経済・社会の発展に近道はなく、地道な努力が肝要である。この5年、終始一貫して習近平「新時代の中国の特色ある社会主義」思想を導きとし、党の基本理論、基本路線、基本方針を全面的に貫徹した。経済建設をしっかりと中心に据え、力を入れて質の高い発展を促し、困難を恐れず、果敢に立ち向かった。地道な努力で公約を守り、全力で経済の発展に取り組んだ。人民の要望を施政の方向とし、終始人民を第一に考え、すべてにおいて人民の利益を重んじ、大衆の声に真剣に耳を傾け、大衆の日々の暮らしをしっかりと把握し、人民大衆の悩みや希望に努めて応えた。実事求是を堅持し、客観的法則を尊重し、空理空論に終始し、大風呂敷を広げ、口先だけでむこうみずのやり方に断固反対した。改革の方法と粘り強い精神により難題を解決して活力を引き出し、責任を果たすことを奨励し、能力不足や職務怠慢の責任を追及した。人民大衆の創造精神を尊重し、各方面の活力を十分に引き出して発展を後押しする大きな力を結集した。

  代表のみなさん

  この5年、民族関連業務、宗教関連業務と華僑関連業務が刷新・改善された。平等・団結・互助・調和の社会主義民族関係を強くし発展させ、民族の団結・進歩に新たな気運がみられた。党の宗教関連業務の基本方針を貫徹し、わが国の宗教の中国化を着実に進めた。引き続き華僑関連業務をしっかりと行い、祖国の現代化建設における海外の華僑同胞独特の強みと重要な役割を十分に発揮させた。

  人民軍隊に対する党の絶対的指導を堅持し、国防・軍隊整備において新たに一連の大きな成果を収め、大きな変革を遂げた。人民軍隊が政治主導の軍隊建設、改革による軍隊強化、科学技術による軍隊強化、人材による軍隊強化、法に基づく軍隊統治をさらに推進し、訓練・戦備をいっそう進めたことで、現代化水準と実戦能力は著しく高まった。確固たる意志と柔軟な行動で軍事闘争を行い、国境警備、海上の諸権益の擁護、テロ取締り・治安維持、災害救助、感染症対策、国際平和維持・船舶護衛などの重要任務を効果的に遂行し、国防動員能力を高め、国家の主権・安全・発展の利益を力強く守り抜いた。

  香港・澳門・台湾関連業務に新たな進展がみられた。憲法と基本法に基づいて特別行政区に対し全面的な管轄統治権を効果的に行使し、香港特別行政区国家安全維持法を制定して施行し、「愛国者による香港統治」、「愛国者による澳門統治」という原則を徹底し、香港が社会秩序回復から繁栄興隆の新段階に入るよう推し進めた。粤港澳(広東・香港・澳門)大湾区の建設をさらに進め、香港・澳門の経済発展、民生改善、感染症対策、安定維持を支援した。新時代の党の台湾問題解決の基本方策を貫徹し、分離反対・干渉反対の重要闘争に断固として取り組み、両岸関係の平和的発展を持続的に促進した。

  中国の特色ある大国外交を全面的に推し進めた。習近平主席をはじめとする指導部の面々は各国を歴訪し、オンライン・オフライン形式で20ヵ国・地域(G20)首脳会議、アジア太平洋経済協力(APEC)非公式首脳会議、国連創設75周年記念ハイレベル会合、東アジアサミット(EAS)・関連会議(ASEAN+1、ASEAN+3等)、中国・EU首脳会議など一連の重要外交行事に出席した。上海協力機構(SCO)青島サミット、ブリックス(BRICS)首脳会議、グローバル発展ハイレベル対話、「一帯一路」国際協力サミット、中国・アフリカ協力フォーラム北京サミットなど、重要なホームグラウンド外交を成功させた。毅然とした態度と柔軟な対応を堅持して、わが国の主権・安全・発展の利益をしっかりと守った。グローバル・パートナーシップを積極的に構築し、開かれた世界経済の形成に力を尽くし、多国間主義を守り、人類運命共同体の構築を推進した。中国は責任ある大国として、感染症対策の国際協力の推進、地球規模の課題への対応、地域的な緊張や紛争などの解決に重要かつ建設的な役割を果たし、世界の平和・発展促進に重要な貢献をした。

  代表のみなさん

  近年、わが国の発展において収めた成果は、習近平同志を核心とする党中央の力強い指導のたまものであり、習近平「新時代の中国の特色ある社会主義」思想の科学的な導きのたまものであり、全党・全軍・全国各民族人民の団結奮闘のたまものである。わたくしは国務院を代表し、全国各民族人民、民主諸党派、各人民団体ならびに各界の方々に対して、心から感謝の意を表すものである。また、香港特別行政区の同胞、澳門特別行政区の同胞、台湾の同胞ならびに海外の華僑同胞に対して、心から感謝の意を表すものである。そして、中国の現代化建設に関心を寄せ、力添えいただいている各国政府、国際組織、各国の友人のみなさんに対して、心から感謝の意を表すものである。

  われわれは発展の成果を認めると同時に、次のように冷静に見て取らなければならない。わが国は発展途上大国として、今なお社会主義の初級段階にあり、発展の不均衡・不十分という問題が依然として際立っている。足下の発展はさまざまな困難と試練に直面している。外部環境が不確実性を増し、世界的にインフレ率が高止まりし、世界経済・貿易成長の原動力が弱まり、外部からの抑圧・阻害がエスカレートしている。国内経済の安定成長の基盤はいっそう強化される必要があり、需要不足が依然として際立ち、民間投資と民間企業の先行きが不透明で、多くの中小・零細企業や自営業者が深刻な経営難に直面し、雇用対策は非常に困難であり、一部の地方政府の財政難がさらに深刻になっている。不動産市場が数多くのリスクを抱え、一部の中小金融機関のリスクが顕在化している。発展において体制・仕組み上の障壁が依然として多くみられる。科学技術イノベーション能力が伸び悩んでいる。生態環境保護は前途多難である。防災・減災面などで都市・農村部のインフラに明らかな脆弱性がみられる。民生分野に問題点が多々ある。形式主義・官僚主義が依然として目立ち、一部の地方政府に政策実施の硬直化、ノルマの上乗せがみられ、一部の幹部は職務を怠り、職権を濫用し、前例踏襲で、現実を見ず、大衆の意思を無視し、大衆の合法的な権利・利益を軽んじるなどの問題がある。一部の分野、業種、地方で腐敗問題が時折起きている。政府活動に対する人民大衆の意見や提案を重視する必要がある。問題と課題に立ち向かい、全身全霊を傾けて政府活動の改善に取り組み、人民の切なる負託に応えなければならない。

  二、2023年政府活動についての提案

  今年は第20回党大会の精神を全面的に貫徹する最初の年である。政府活動を完遂すべく、習近平同志を核心とする党中央の力強い指導の下、習近平「新時代の中国の特色ある社会主義」思想を導きとし、第20回党大会の精神を全面的に貫徹・実施し、中央経済工作会議の活動計画に基づき、中国式現代化を着実に推進し、「安定を保ちつつ前進を求める」という活動全体の基調を堅持し、新たな発展理念を完全・正確・全面的に貫徹し、新たな発展の形の構築を加速し、質の高い発展の推進に力を入れ、国内と国際という二つの大局、感染症対策と経済・社会発展、発展と安全をいっそう統一的に考慮するとともに、改革開放を全面的に深化させ、市場期待を大きく押し上げ、内需拡大戦略の実施と供給側構造改革の深化を有機的に結び付け、経済・雇用・物価の安定を優先させ、重大リスクを効果的に防止・解消し、景気の全般的好転を促し、効果的な経済の質的向上と適正な規模拡大を実現し、民生を持続的に改善し、社会の大局の安定を保ち、社会主義現代化国家の全面的建設に向けて幸先の良いスタートを切らなければならない。

  今年の主な所期目標は次のとおりである。◇GDPの伸び率は5%前後とする。◇都市部の新規就業者数は1200万人前後とし、都市部調査失業率は5.5%前後とする。◇消費者物価の上昇幅は3%前後とする。◇住民所得の伸び率は経済成長率とほぼ同ペースに保つ。◇輸出入の量的安定と質的向上をはかり、国際収支を均衡に導く。◇食糧生産量は6億5000万トン以上に維持する。◇GDP当たりのエネルギー消費量と主要汚染物質の排出量を引き続き減尐させ、化石燃料の消費を重点的に抑制し、生態環境を着実に改善する。

  「安定を前提に成長を求める」ことを堅持して、戦略的チャンスとリスクが並存し、不確実性が増す中で、政策の連続性・安定性・的確性を保ち、政策間の整合性を高め、質の高い発展を後押しするシナジーを生み出す。積極的な財政政策はいっそう強化してその効果を高める。財政赤字の対GDP比は3%とする。優遇税制を見直して、現行の減税・料金引き下げや税金還付、納付猶予などの措置について、延長すべきものは延長し、調整すべきものは調整する。末端政府の「三つの保障」にしっかりと取り組む。穏健な金融政策は的確で強力なものにする。広義マネーサプライ(M)と社会融資規模(企業や個人の資金調達総額)の拡大ペースはGDP名目成長率との基本的一致を保ち、実体経済の発展を後押しする。人民元為替相場の合理的な均衡水準での堅調な推移を保つ。産業政策は発展と安全を両立させる。在来産業の改造・高度化を促進し、戦略的新興産業を大きく育成し、産業チェーンにおける脆弱部分を重点的に補強する。科学技術政策は、自立自強を焦点としながら、国際協力を継続する。新型挙国体制を整え、基幹核心技術開発において政府主導を徹底し、企業の技術革新を支援し、技術革新における企業の主体的地位を際立たせ、研究者と研究チームの育成支援を強化する。社会政策は社会的セーフティネットをしっかりと張りめぐらせる。雇用優先政策を各地で徹底し、若者、とくに大学新卒者の就職支援により優先的に取り組み、基本的民生を確実に保障する。

  現在、わが国の新型コロナウイルス対策は「乙類乙管」に移行し、これまでの感染症対策を全面的かつ科学的に評価した上で、より科学的に、的確に、効率よく感染症対策に取り組み、健康維持と重症化予防を指針とし、高齢者や子ども、基礎疾患のある者の感染予防と治療を重点的に行い、感染監視を強化し、新ワクチンと新薬の開発を進め、大衆の医療需要を確実に充足し、人民の命と健康をしっかりと守る。

  今年は政府改選の年である。これまで触れてきた経済・社会発展の諸分野・各方面の活動は、今後もたゆまず取り組み続ける必要がある。これから要点を述べていく。

  (一)内需拡大に力を入れる。消費の回復・拡大を優先させる。さまざまな方途で住民の所得を増やす。自動車など耐久財消費を維持し、飲食や文化、観光、スポーツなど個人向けサービス消費の回復を促す。政府投資と政策的奨励により民間投資を効果的に促し、今年の地方政府特別債は3兆8000億元とし、第14次5ヵ年計画の重要プロジェクトの実施を加速し、都市再生行動を実施し、各地域の相互補完的な優位性発揮を促し、感染症の影響が深刻な地域の経済・社会発展支援をさらに強化し、より多くの民間資本の国家重要プロジェクトと脆弱部分補強プロジェクトへの参加を奨励して呼び込み、民間投資の活力を喚起する。

  (二)現代化産業体系の構築を加速する。科学技術イノベーションによる産業発展への支えを強化する。サプライチェーン強靭化行動を継続し、製造業の重点産業チェーンに関して、国を挙げて基幹核心技術開発に取り組み、イノベーションの活力を十分に引き出す。国内の重要エネルギー資源・鉱産資源の探査・開発による賦存量・生産量増加を強化する。在来産業・中小企業のデジタル化を加速し、ハイエンド化・スマート化・グリーン化に注力する。先端技術の研究開発と応用・普及を加速し、社会実装を促す。高効率で円滑な物流体系を構築する。デジタル経済を大いに促進し、監理体制を整備し、プラットフォームエコノミーの発展を後押しする。

  (三)「二つの揺るぐことなく」を着実に実施する。国有資本・国有企業改革を深化させ、国有企業のコアコンピタンスを強化する。類別の改革を堅持し、国有企業の経済的責任と社会的責任の関係を適切に処理し、中国の特色ある国有企業現代コーポレートガバナンスを整備する。民間企業の財産権と企業家の権利・利益を法に基づいて守り、関連政策を整備し、民間経済と民間企業の成長を奨励・サポートし、中小・零細企業と自営業者の発展を後押しし、親身で清廉な政財関係を構築し、各種所有制企業に公正かつ自由に競争できる環境を整え、実のある方策で市場の期待を安定させ、景況感を改善する。

  (四)外資の誘致・利用にいっそう力を入れる。市場参入規制を緩和し、現代サービス業をいっそう開放する。外資企業の内国民待遇を徹底する。環太平洋パートナーシップに関する包括的および先進的な協定(CPTPP)など高い水準の経済連携協定への加入交渉を積極的に推進し、関連ルール・規制・管理・基準に照らして制度型開放を着実に拡大する。地域別に開放の最適化をはかり、自由貿易試験区向上戦略を実施し、海单自由貿易港やさまざまな開発区など、開放プラットフォームにおける試行にしっかりと取り組む。貿易の経済を支える役割を持続的に発揮させる。外資企業をしっかりとサポートし、指定重要外資プロジェクトの着地を促す。開かれた中国大市場は、必ずや各国企業に中国でのさらなる成長機会をもたらすことができるであろう。

  (五)経済・金融分野の重大リスクを効果的に防止・解消する。金融体制改革を深化させ、監督管理を強め、関係各所の責任を徹底し、地域性・系統性金融リスクを回避する。大手不動産企業の経営危機に効果的に対処し、負債比率を改善し、無計画な拡大経営を防ぎ、不動産業の安定成長を促す。地方政府の債務リスクを防止・解消し、債務期限構造を改善し、利息負担を低減し、新規発行額を抑え、債務残高を削減する。

  (六)食糧生産を安定させ、農村振興を推進する。農業現代化と農村現代化を一体的に推進する。食糧の作付面積を確保し、油糧作物の生産に取り組み、新たに食糧5000万トン増産計画を実施する。農業資材の安定供給・価格安定の仕組みを整える。耕地の保護を強化し、農業水利施設や高基準農地などのインフラ整備を強化する。種子事業振興行動を踏み込んで実施する。アグリテックと農機の導入を強化する。食糧農家と食糧主産地への奨励的補助金の仕組みを整備する。包括的食料観を確立し、食料調達先の多元化をはかる。農村の地場産業を発展させ、農民の収入源を増やす。貧困脱却堅塁攻略の成果を定着させて拡大し、集団的な再貧困化を断固として防ぐ。農村整備行動を進める。国策の土地請負期限30年延長は必ずきめ細かな取組で徹底しなければならない。

  (七)発展パターンのグリーン化を推し進める。環境汚染対策を踏み込んで推進する。流域総合対策を強化し、都市・農村部の環境インフラ整備を強化し、指定地域生態系保全・復元重要プロジェクトを継続して実施する。クリーンで高効率なエネルギー利用と関連技術の研究開発を進め、新型エネルギー体系の整備を急ぎ、再生可能エネルギー比率を高める。グリーン発展促進に向けた政策と金融ツールを整備し、循環型経済を発展させ、資源の節約・集約利用を推し進め、重点分野の省エネ・低炭素・汚染低減を進め、「青い空、澄んだ水、きれいな土を守る戦い」に継続的にしっかりと取り組む。

  (八)基本的民生を保障し、社会諸事業を発展させる。住宅保障体系の整備を強化し、マイホームの購入または買い替えを支援し、新市民や若年層が抱える住宅難をしっかりと解消し、老朽住宅地の改修と老朽危険家屋の改築を加速する。質の高い教育体系の構築を急ぎ、義務教育の良質で均衡のとれた発展と都市・農村の一体化を推進し、ユニバーサル型就学前教育・特別支援教育を推進し、職業教育を大いに発展させ、高等教育のイノベーションをはかり、中・西部地区の高等教育機関の発展を支援し、スポーツと教育の融合を深化させる。医療・医薬品・医療保険・公衆衛生体制改革を深化させ、医療保険、医療、医薬品の協同発展と管理を促進する。良質な医療資源の拡充・移転と地域間の均衡のとれた配置を促進する。中国医学・薬学振興重要プロジェクトを実施する。メンタルヘルスを重視する。人口の高齢化への積極的対応という国家戦略を実施し、養老サービスを充実させ、出産支援政策体系を拡充する。女性・児童・高齢者・障害者の合法的な権利・利益を保障する。軍人とその家族、退役軍人とその他の優遇扶助対象者への恩給援護をしっかりと行う。文化事業と文化産業を繁栄・発展させる。社会統治の効果を高める。労働安全監督管理と防災・減災・災害救助活動を強化する。総体的国家安全保障観を全面的に貫徹し、より高い水準の「平安中国」を建設する。

  政府自体の建設をいっそう強化し、政府の機能転換を続け、機関再編をしっかりと行い、法治政府・革新政府・廉潔政府・サービス型政府の整備を着実に進め、地道な努力の精神を発揚し、調査・研究を重んじ、行政効率と信頼性を高める。

  代表のみなさん

  われわれは中華民族共同体意識の強化を主軸とし、民族区域自治制度を堅持し充実させ、各民族の共同の団結・奮闘と共同の繁栄・発展を促進する。党の宗教関連業務の基本方針を堅持し、わが国の宗教の中国化の方向を堅持し、宗教が社会主義社会に適応するよう積極的に導く。華僑関連業務を拡充・改善し、国内外の中華民族の人々が心を一つにして奮闘し、ともに栄光を築いていく強大な力を結集する。

  われわれは習近平強軍思想を深く貫徹し、新時代の軍事戦略方針を貫徹し、中国人民解放軍創立百周年の奮闘目標の達成を中心に据えて、闘争・戦備・建設を同時に推進し、党と人民に与えられた諸任務を完遂する。訓練・戦備を全面的に強化し、軍事戦略指導を刷新し、実戦化軍事訓練に力を入れ、各戦略方向・各領域における軍事闘争を統一的にしっかりと進める。軍事統治を全面的に強化し、国防・軍隊改革の成果を定着させて拡大し、重要任務における闘争・建設・戦備の統合を強化し、国防強化重要プロジェクトの実施を加速する。一体的な国家戦略体系をうち固めてその能力を向上させ、国防科学技術工業の能力を向上させる。全国民国防教育を深化させる。各級政府は国防・軍隊整備を大いに支援し、「擁軍優属・擁政愛民」関連業務をさらに展開し、軍隊と政府、軍隊と人民の団結の新たな一章をともに書き綴る。

  われわれは「一国二制度」、「香港住民による香港統治」、「澳門住民による澳門統治」、高度の自治という方針を全面的かつ正確に、揺るぐことなく貫徹し、法に基づく香港統治・澳門統治を堅持し、憲法と基本法で定められた特別行政区の憲制秩序を守り、「愛国者による香港統治」と「愛国者による澳門統治」の原則を徹底する。香港・澳門の経済発展と民生改善を支援し、香港・澳門の長期的な繁栄と安定を保つ。

  われわれは新時代の党の台湾問題解決の基本方策を貫徹し、一つの中国の原則と「92コンセンサス」を堅持し、「独立」反対・祖国統一促進を貫き、両岸関係の平和的発展と祖国の平和的統一への道を歩む。両岸同胞は血がつながっており、両岸の経済・文化の交流・協力を促進し、台湾同胞の福祉増進のための制度と政策を充実させ、両岸はともに中華文化を発揚し、心を一つにして復興という偉業を成し遂げる。

  われわれは揺るぐことなく独立自主の平和外交政策を遂行し、平和的発展の道を堅持し、あくまでも平和共存五原則を踏まえて各国との友好協力を発展させ、互恵ウィンウィンの開放戦略を断固実行し、終始世界平和の建設者、世界発展の貢献者、国際秩序の擁護者であり続ける。中国は、国際社会とともにグローバル発展イニシアティブとグローバル・セキュリティ・イニシアティブを実践し、全人類共通の価値を発揚し、手を携えて人類運命共同体の構築を推進し、世界の平和と地域の安定を守っていく考えである。

  代表のみなさん

  奮闘が輝きを生み、ひたむきな努力が未来を築く。われわれは習近平同志を核心とする党中央を中心にいっそう緊密に団結し、中国の特色ある社会主義の偉大な旗印を高く掲げ、習近平「新時代の中国の特色ある社会主義」思想を導きとし、第20回党大会の精神を全面的に貫徹し、練磨前進し、経済・社会の持続的かつ健全な発展を推進し、社会主義現代化国家を全面的に建設して中華民族の偉大な復興を全面的に推進するために、わが国を富強・民主・文明・調和の美しい社会主義現代化強国に築き上げるために、たゆまず奮闘していく。


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